経済特区庁長官、中央政府方針に沿った取り締まりを求める声明を発表

(フィリピン)

マニラ発

2020年04月24日

フィリピン経済特区庁(PEZA)は4月21日、各政府機関や地方自治体が実施する取り締まりに、中央政府の方針との一貫性を保つことを求めると発表した。本措置により、企業の事業活動の支障解消を狙う。

PEZAのチャリト・プラザ長官は、新型コロナウイルス感染拡大防止のためにフィリピン政府が実施しているマニラ首都圏を含むルソン地方全体の広域隔離措置(ECQ)に伴って各政府機関や地方自治体が実施する取り締まり内容が、中央政府の方針と異なることがあり、物資や労働者の移動が阻害されることで経済特区入居企業の操業に支障が出ているとした。

ジェトロがPEZAの認可工業団地に入居する複数の日系企業にヒアリングしたところ、「バランガイ(最小行政単位)の独自規制で社員の多くが出社できず操業が再開できない」、「経済特区からの貨物の搬出入にはしばしば関連政府機関の許認可が必要になる。ECQ期間中もサービス提供継続を発表したPEZAでも平常時と比較すると機能は低下している。その他の政府機関はさらに手続上の煩雑さ、遅延が随所で発生している」といった声が聞かれた。

フィリピン政府は3月16日、PEZAを含む輸出型製造業やビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)業については、必要最小限の人員にて営業を継続するという指針を発表。当該指針に基づき、PEZAは3月21日には経済特区入居企業の操業が一時停止となる基準を発表。3月24日には感染拡大防止のために入居企業が順守すべき内容を発表(2020年3月26日記事参照)し、ECQ実施期間中の操業基準を示してきた。在フィリピンの日系企業で構成されるフィリピン日本人商工会議所は3月20日、従業員や貨物の移動に関して、政府発表と地方自治体による実際の取り締まり内容に差異が生じていることを訴える文書を発出していた。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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