中央銀行が銀行業務のオンライン化費用を6カ月間支援

(フィリピン)

マニラ発

2020年05月01日

フィリピン中央銀行(BSP)は4月28日、オンラインバンキング、電子マネープラットフォームといったデジタルチャンネルを新規構築する銀行を支援すると発表した。

BSPは、新型コロナウイルスの国内感染拡大状況を踏まえ、銀行業務のオンライン化を加速させることで顧客が銀行に出向く必要性を回避する必要があるとし、デジタルチャンネルの新規構築にあたって銀行がBSPに対して行う申請、ライセンシング、登録といった各種手続き費用を請求しないと発表した。2020年3月8日に遡及(そきゅう)して有効で、3月8日から6カ月間有効となるが、新型コロナウイルスの国内感染状況によっては延長されるとした。

BSPのベンジャミン・ディオクノ総裁は4月28日、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためにも、銀行による安全かつ便利な電子決済サービスを拡充すると発表。マニラ首都圏を含むルソン島全体を対象に、外出禁止令や公共交通機関の停止を含む広域隔離措置(ECQ)が発動された3月17日以降、ATMでの現金引き出しや小切手決済の回数や金額は、大きく減少しているとした。フィリピンの大手銀行の1つ、フィリピン・アイランズ銀行(BPI)によると、ECQ発動後2週間で電子決済は25%増加した(4月17日付ビジネスワールドほか)。

BSPは2020年1月、金融包摂(注)政策を推し進め、2020年中に国内の決済額に占める電子決済額の比率を30%に引き上げると発表(2020年2月6日記事参照)。15歳以上のフィリピン国民のうち、わずか34.5%しか銀行口座を保有していないという世界銀行による調査結果(2018年時点)を引き合いに、国民IDの発行とそれを利用した貧困対策プログラム、デジタル通貨やデジタル送金の促進といった政策に取り組むとした。

(注)ファイナンシャル・インクルージョン。国民全員が、基本的な金融サービスを受けられること。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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