タンチョンモーターの新工場が再稼働

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2020年05月22日

マレーシアなどで日産ブランドの自動車を生産販売する同国資本のタンチョンモーターのミャンマー新工場が、5月18日に再稼働した。同社はヤンゴンの北東にあるバゴーに新工場を建設し、2020年1月から自動車の生産を開始したが、4月の水かけ祭り休暇後から実施された政府による新型コロナウイルス関連視察検査のため、生産を停止していた。

写真 工場正門、左側が自動車組立工場(ジェトロ撮影)

工場正門、左側が自動車組立工場(ジェトロ撮影)

新型コロナウイルス流行の影響で計画が後ろ倒しに

今回、再稼働したバゴー新工場の総敷地面積は80エーカー(約32万3,760平方メートル)で、このうち自動車生産関連に50エーカー、部品生産に30エーカーを割り当てる。

自動車生産では、3棟の工場を建設する計画だ。1棟目は、既に竣工(しゅんこう)しており、自動車組立工場として稼働している。2棟目は、建屋が完成しており、ボディーショップ(車体・溶接工場)として利用する。溶接を中心とした設備機械を2020年半ばに据え付ける計画だったが、新型コロナウイルスによる影響で遅延が見込まれている。建設中の3棟目は、ペイントショップ(塗装工場)として利用する予定で、2020年末の竣工を目指していたが、同様に新型コロナ禍の影響で2021年に持ち越しとなった。3棟の工場の建屋面積は、全て完成すれば合計4万平方メートルに上る。年間生産能力は2万4,000台となっている。

部品サプライヤーの進出も見込む

部品生産については、タンチョンモーター傘下で、マレーシア自動車部品メーカー最大手のAPMオート・コンポーネント・マニュファクチャーズが現地法人を設立しており、今後、工場を建設していく予定だ。

現在はセミノックダウン(SKD)方式で生産しているが、上記の溶接工場、塗装工場が完成すればコンプリートノックダウン(CKD)方式に移行する。その準備段階として、溶接、塗装担当エンジニアが、タンチョンモーターが日産車を生産しているマレーシア工場とベトナム工場で社内研修を受けた。

現在、同社の生産モデルは「サニー」のみだが、今後、スポーツ用多目的車(SUV)などラインナップを増やしていく予定だ。また、部品の現地調達を推進しているため、日系自動車部品メーカーのさらなる現地進出が期待される。

(草苅貴)

(ミャンマー)

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