ラマダン終了、新型コロナで苦境のホテル業界に再開の動き

(エジプト)

カイロ発

2020年05月29日

4月24日からスタートしたラマダン(断食月、2020年4月27日記事参照)が5月23日に終了、翌24日からの3日間はラマダン明けの祝日で、政府から27日、28日も休日扱いとする声明が出され、大型連休となった。政府は、新型コロナウイルス感染防止のため24~29日の間の外出禁止を午後5時~翌朝6時までと厳しくしているが、30日からは午後8時~翌朝6時までとなり、ラマダン前の状況に戻る。

エジプトで初めて新型コロナウイルス感染者が報告されたのは2月14日で、3月16日には観光名所であるアスワン~ルクソール間のクルーズ船に乗船したエジプト人12人が感染し、世界保健機関(WHO)によるパンデミック宣言下、政府は3月19日から国際線運航停止、イベント禁止、モスク使用禁止など人的交流の機会を抑制してきた(2020年3月26日記事参照)。

こうした規制で大きな打撃を受けているのがホテル業界だ。政府の指示で全てのホテルが営業を停止する危機的状況に追い込まれてきたが、5月15日から政府は25%以内の稼働率を条件にホテルの営業を許可、さらにホテル業界に優先的に割り当てられる低金利融資スキーム(8%)を設定している。25%の稼働率では採算が取れないという声が業界関係者では多い中、ラマダンも終了して本格的な夏の到来を控え、また6月初旬には50%の稼働許可が見込まれているこのタイミングで、カイロ、ギザ、スエズなど主要地域での一部ホテルでは格安オファーのプロモーションが展開されている。

5月31日以降は、中止されていた公共共通機関や国内航空便も利用が可能になる。しかし、5月27日時点で累計感染者数は1万9,666人となり、1日当たりの感染者数が700人を超える状況が続いているため、引き続き行動には注意が必要だ。

(常味高志)

(エジプト)

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