原産地証明書に係る規定を柔軟化、事後提出の期限を緩和

(ベトナム)

ホーチミン発

2020年06月03日

ベトナム財務省は5月27日、新型コロナウイルス流行期における原産地証明書の提出時期および原産地証明書の形態に関する通達47/2020/TT-BTCを発出した。

通達47号では、自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)の原産地証明書の事後提出期限が緩和された。輸入通関時に原産地証明書が届かず原本を提出できない場合には、輸入申告時に原産地証明書の事後提出を申告し関税を支払う必要があるが、原産地証明書の有効期限内に提出することができれば、支払った関税とFTA/EPAによる優遇関税との差額の還付を受けることができる(第3条)。従来、同様の場合には輸入申告書の登録日から原則30日以内の提出が必要とされていた。

さらに、FTA/EPAの原産地証明書の提出形態が柔軟化された。具体的には、以下の形態による原産地証明書の提出によっても、輸入時にFTA/EPAの優遇税率の適用を受けられるとされた。(第4条1項)。

(1)電子署名および電子スタンプを使用した原産地証明書

(2)原産地証明書のコピーまたはスキャン

ただし、輸出国の発給当局が、(1)、(2)の適用をベトナムに通知するとともに、ベトナムの税関が原産地証明書の真正性を検査できる手段を提供することが条件とされた(注1)。ジェトロが、ベトナム税関総局に電話で確認したところ、5月29日時点で、インドのみがベトナムへの通知を行っている(注2)。

なお、財務省通達38/2018/TT-BTC付録IIに定める原産地証明書を書面で提出しなければならない場合(肉・油脂・肉調整品類、石炭類、車両類)についても、原産地証明書のコピーまたはスキャンを提出することを認めた(第4条2項)。ただし、原産地証明書の原本を輸入申告書の登録日から180日以内に提出しなければならない。

通達47号はベトナム政府が新型コロナウイルスの流行を宣言した2020年1月23日にさかのぼって発効し、同日の輸入申告書から適用される。世界的な新型コロナウイルスの流行状況を見ながら、財務大臣が本通達の無効を公表するまで適用される。

(注1)法令上は、原産地証明書の検索サイトまたはその他の検索手段を提供すること〔(2)の場合には、コピーまたはスキャンデータの提供でも可〕が規定されているが詳細は不明。

(注2)10月14日から日・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)について、12月29日から日本・ベトナム経済連携協定(JVEPA)について、それぞれ日本で発行された原産地証明書のスキャンデータでの提出が可能となっている〔2020年12月11日記事、(2021年1月6日記事:追記)参照〕。

(北嶋誠士、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム)

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