自動車購入支援を強化、自動車販売が急回復

(フランス)

パリ発

2020年06月18日

フランス政府は6月1日、2020年12月末までの時限付きで自動車産業救済に向けた低公害車の購入支援措置を導入した。

電気自動車の新車購入補助金(環境報奨金)について、4万5,000ユーロ以下の電気自動車を購入またはリース契約した場合、個人向けに7,000ユーロ、企業向けに5,000ユーロを支給する(添付資料表1参照)。4万5,000ユーロを超える電気自動車や6万ユーロを超える水素を燃料とする燃料電池自動車を購入またはリース契約した場合は3,000ユーロを支給する。さらに、航続距離が50キロを超える充電式(プラグイン)ハイブリッド車(PHEV)の購入についても、価格が5万ユーロ以下のものについて2,000ユーロを支給する。

買い替え補助金については、対象となる低所得世帯の課税所得基準を1万3,489ユーロから1万8,000ユーロに引き上げ、低所得層による低公害車への買い替えを後押しする(添付資料表2参照)。同世帯が2006年1月以前に新規登録されたガソリン車または2011年1月以前に新規登録されたディーゼル車を廃車処分して、二酸化炭素(CO2)排出量が1キロ当たり51〜137グラムの内燃自動車に買い替えた場合は3,000ユーロ、電気自動車や燃料電池自動車に買い替えた場合は購入価格の80%(上限5,000ユーロ)、航続距離が50キロを超えるPHEVに買い替えた場合は5,000ユーロ、航続距離が50キロ以下のPHEVに買い替えた場合は3,000ユーロを支給する。

新たな買い替え補助金の適用は、6月1日以降に買い替えられた最初の20万台に限られる。電気自動車の購入補助金と買い替え補助金は、重複して受け取ることができる。例えば、低所得世帯が2011年1月以前に新車登録されたディーゼル車を廃車処分し、4万5,000ユーロ以下の電気自動車の新車を購入した場合、環境報奨金と買い替え補助金を合わせ最大で1万2,000ユーロの補助金が支給される。

内燃自動車を電動化した電気自動車(レトロフィット、改造車)も、環境報奨金の適用対象に加えた。低所得世帯には購入価格の80%(上限5,000ユーロ)、課税所得基準が1万8,000ユーロを超える世帯には2,500ユーロを支給する。

国内の新車販売は、移動制限の緩和が始まった5月以降、急速な回復をみせている。フランス自動車工業会によれば、乗用車の新規登録台数について、衛生緊急事態宣言が発令された3月は前年同月比72%減の6万2,668台、4月は88.8%減の2万997台まで落ち込んだが、5月は50.3%減の9万6,308台と前年同月の5割の水準にまで持ち直した。

ブリュノ・ルメール経済・財務相は6月9日、ラジオ番組のインタビュー(RTLソワール)で、6月に入り自動車販売が急激に持ち直している、と発言。「4月は前年同月の水準の10%だった自動車販売が5月は50%に上昇。6月は危機以前の水準に正常化すると思われる。劇的な回復ぶりになる」と述べた。

(山崎あき)

(フランス)

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