マラウイ、新型コロナ禍の中で大統領選再選挙を実施

(マラウイ)

ヨハネスブルク発

2020年06月25日

マラウイ選挙管理委員会(MEC)は6月23日、2019年大統領選の再選挙を実施した。総人口約1,800万人(世界銀行、2018年)のうち、有権者約680万人が投票開始時刻の午前6時から国内各地の投票所で列を作る姿が報道された(「アルジャジーラ」6月23日)。投票は同日で締め切られ開票作業が進み、暴動などの大きな混乱は報じられていない。

マラウイでは5年に一度の大統領選が2019年5月に実施され(2019年5月31日記事参照)、現職で与党民主進歩党(DPP)党首のピーター・ムタリカ氏が得票率38.57%で、第1野党マラウイ会議党(MCP)の党首ラツルス・チャクウェラ氏の得票率35.41%を僅差で上回り、勝利を発表した。しかし、結果公表直後に野党が再選挙を求め強く抗議。2020年2月に憲法裁判所が選挙結果を無効とし、7月2日までに再選挙を実施するよう勧告していた(2020年4月27日記事参照)。

しかし、新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受け、4月にムタリカ大統領は3週間のナショナル・ロックダウンを実施すると発表し、これに伴いMECは大統領選にかかる全ての準備の中断を要求。同国の最高裁判所は5月、これらの訴えを退け、2月の憲法裁判所による指示のとおり、7月2日までの再選挙の実施を決定した(「ボイス・オブ・アメリカ」5月9日)。また、最高裁判所は前回2019年選挙の際に登録されていた有権者のみ今回投票可能だとし、さらに今回は候補者が単独で50%以上の得票が必要となり、それを下回った場合は決選投票を行うとする2月の憲法裁判所の判決も支持した(「ボイス・オブ・アメリカ」6月22日)。このため、MCPのチャクウェラ党首は9つの野党からなる連盟を作り、今回の選挙戦に臨んだと報じられている(「BBC」6月23日)。

1人当たり年間所得が300ドル台(2018年、世界銀行)と世界の最貧国の1つに数えられるマラウイでは、南アフリカ共和国から帰国した出稼ぎ労働者の新型コロナウイルスの感染確認が相次ぎ、6月23日時点で国内の感染者は745人に増加している。そのような中で、数百万人が参加した今回の選挙の実施により、さらなる感染拡大を招かないか懸念される。

(高橋史)

(マラウイ)

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