ロシアのエブロヒム、カザフスタン南部で化学肥料プラント建設へ

(カザフスタン、ロシア)

タシケント発

2020年07月28日

カザフスタンのエルメク・コシェルバエフ駐ロシア大使と、ロシアのデニス・マントゥロフ産業貿易相は7月21日、モスクワで2国間の戦略投資事業「鉱物質肥料生産工場建設および操業」に関する政府間協定に署名した(カザフスタン首相府ウェブサイト7月21日)。

このプロジェクトは、ロシアの化学大手エブロヒム・ミネラル・ケミカルズ(本社:スイス・ツーク)によるカザフスタン南部ジャンブル州のカラタウ・リン鉱床の開発と、肥料用・工業用リンの生産プラントの建設、操業を目指すもの。

エブロヒムはカザフスタンに2014年に進出、現地法人エブロヒム・カラタウLLP(有限責任会社)を立ち上げ、リン鉱床の地質調査と亜リン酸粉末の生産を行ってきた(「カピタル」2019年3月30日)。同社のイゴリ・ネチャエフCEO(最高経営責任者)は2019年6月のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで、「(原料の)リン鉱粉の年間生産量は64万トンを達成し、投資の第1フェーズは完了した。次のフェーズに移るために、カザフスタン政府と交渉を重ねている」と述べていた(タス通信2019年6月7日)。

発表された事業計画によると、建設するプラントの年産能力は100万トンで、最新の生産技術を導入し、リン肥料と複合肥料の生産と同時に、副産物として塩化カルシウム(年間12万トン)、硫酸カルシウム(同40万トン)を生産する。カザフスタンの投資誘致機関「カザフインベスト」によると、プロジェクトの第1フェーズに1億2,600万ドルが投資され、今回の第2フェーズには7億5,000万ドルが予定されている(うち1億3,100万ドルが実行済み)。このプロジェクトへの投資総額は最大10億ドルで、最終製品はカザフスタンの国内市場に供給するほか、中国や中央アジア、東南アジア、中東諸国に輸出する。

コシェルバエフ大使は「(同事業は)ジャンブル州で少なくとも1,200の新しい雇用を創出し、製造業と農業の発展、食糧安全保障の向上、地域の社会経済開発やカザフスタンの輸出増大に貢献する。カザフスタンとロシアの2国間ビジネス関係が強化される」と歓迎している(ポータルサイト「フェルティライザー・デーリー」7月22日)。

(増島繁延)

(カザフスタン、ロシア)

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