南ア小売り最大手ショップライト、ナイジェリアから撤退へ

(ナイジェリア、南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年08月13日

食品を中心とするスーパーマーケットなどを展開する南アフリカ共和国の小売り最大手ショップライト・ホールディングスは8月3日付の任意開示PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において、同社のナイジェリア事業の大部分または全ての売却に向けた正式な手続きを進める意向を示した。売却先や金額、時期などの詳細はまだ明らかになっていない。

ショップライトの2019年度の統合年次報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、同社は系列の店舗も含めて南アを中心にアフリカ15カ国に展開し、2,319店舗を有する。ナイジェリアには15年前に進出したが、今回の発表では、ナイジェリアにある全25店舗が売却の対象となるとみられる。アフリカ54カ国中最多の2億人の人口を有し、経済規模も最大であるナイジェリアからの小売り最大手の撤退の発表は、国内外のメディアが即時に報じた。

今回の売却の理由について、ジェトロがナイジェリアの現地のコンサル会社などにヒアリング(8月6日)したところ、ナイジェリアへの輸入品に依存する同社のビジネスにとって、現地通貨ナイラの下落や金融システムの混乱が、商品の在庫管理に継続的なダメージを与えている。外貨準備高の減少などに起因するナイジェリア政府による統制により、中央銀行(CBN)が外貨流出を厳しく監視しているため、利益の本国送金に大きな支障をきたしている。新型コロナウイルス拡大防止のためのロックダウンや営業時間の短縮などが、同社を含む小売業界の競争を激化させた、などの見方が出ている。

(高橋史、谷波拓真)

(ナイジェリア、南アフリカ共和国)

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