ロシア製ワクチン、新たにUAEで第3フェーズ臨床試験へ

(アラブ首長国連邦、ロシア)

ドバイ発

2020年10月16日

アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国は10月12日、新型コロナウイルスに対する新たなワクチンの第III相(フェーズ3)臨床試験を実施すると発表した。治験が行われるのは、ロシア連邦保健省ガマレヤ疫学・微生物学研究センターが開発したアデノウイルスベクター型ワクチン「スプートニク5号」。UAE連邦保健・予防省が監督し、アブダビ医療サービス公社(SEHA)の定めるプロトコルの下、アブダビ保健局が臨床試験を遂行する。ロシアのプーチン大統領とアブダビのムハンマド皇太子は同日、発表に先立ち、新型コロナウイルス対策でのさらなる協力などについて電話協議を行っていた〔10月12日付UAE国営エミレーツ通信(WAM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

このワクチンは8月11日、ロシア政府にフェーズ2の治験が終了した段階で認可されている。開発資金を拠出する政府系ファンド・ロシア直接投資基金(RDIF)のドミトリエフ総裁は今回のUAEでの治験について、「ロシアで現在実施しているフェーズ3臨床試験と抱き合わせ、11月末にも中間結果を報告する」と話した(12日付WAM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。他方、同総裁は12日付CNNインタビューで「ロシアでの大規模な治験は11月までに開始する」とも別途話しており、UAEでの実施時期、被験者の規模などの詳細は明らかにされていない。

同ワクチンのロシア国外での治験はベラルーシに次いでUAEが2カ国目となる予定。なお、これまでにブラジル(2020年8月18日記事参照)やインドなどが同ワクチンの国内生産や調達に関心を示している。

UAEでは既に中国の国営企業「中国医薬集団(シノファーム)」が開発した不活化ワクチンの治験がフェーズ3の臨床試験として7月から行われている(2020年7月22日記事参照)。9月には感染予防や医療従事者など、新型コロナウイルス対策の最前線に立つ人々に対し、同ワクチンの緊急接種が認可された(2020年9月24日記事参照)。臨床試験を遂行する「グループ42ヘルスケア」のアシシュ・コシー最高経営責任者(CEO)は「治験は終了に近づいており、2カ月以内に結果を公表できる」とした上で、同ワクチンを「2021年にUAEで7,500万から1億回分生産する」ことを目標としていると話した(ロイター通信10月8日)。

(田辺直紀)

(アラブ首長国連邦、ロシア)

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