オーストリア、欧州と米国の連携拡大に期待

(オーストリア、米国)

ウィーン発

2020年11月11日

オーストリアのセバスティアン・クルツ首相は11月7日、米国大統領選挙での民主党候補ジョー・バイデン前副大統領の勝利宣言(2020年11月9日記事参照)を受けて、公式ツイッターでバイデン氏に祝辞を述べた。また、首相はオーストリア通信社(APA)の取材に対し、「オーストリアは次期米国政権との戦略的な連携の拡大を期待する」と語った。

アレクサンダー・シャレンベルク外相は9日のプレスリリースで、オーストリアと欧州は米国新政権との協力を期待していると表明した上で、「新型コロナウイルスや気候変動、世界各地の危機、テロなどの課題は国際協力と連携でしか解決できない。一方で、欧州は『米国がわれわれの問題を解決してくれる』という従来の態度に戻ってはいけない」と注意を促し、欧州側の自己責任を強調した。

経済界からは、企業家連盟のゲオルグ・クニル総裁が「貿易障壁を撤廃する新しい経済協定は、欧州と米国の双方で持続的な経済成長と雇用創出をもたらす原動力になる」と述べ、欧州と米国との経済協定締結に期待を寄せた。また「米国はオーストリアにとって2番目に大きい輸出市場、3番目の投資先国だ。オーストリア企業200社が米国に製造拠点を構え、500社が販売拠点または駐在事務所を置いている」として、オーストリア経済にとっての米国の重要性を強調した。

クニル総裁はさらに、グローバルな課題の解決には欧米協力が不可欠とし、WTOやOECD、国連などの国際機関での協力に期待を寄せた。特に気候変動問題については、バイデン氏が示しているパリ協定への復帰に期待を表明した。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア、米国)

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