新技術を活用し貿易の革新的な発展促進

(中国)

北京発

2020年11月17日

中国国務院は11月9日、「貿易の革新的な発展の推進に関する実施意見」(国弁発[2020]40号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。展示会や商談で新技術の活用を進め、ハイレベルな自由貿易協定(FTA)を締結するなどして、貿易の質の高い発展を目指す。

実施意見では、新技術や新チャネルを活用して海外市場を開拓する方針を打ち出した。第5世代移動通信システム(5G)や、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、ビッグデータなどを利用し、企業がオンライン展示会やECプラットフォームなどで販促や商談、契約などを行うことをサポートするほか、オンラインとオフラインが有機的に融合した展示会の実施方式を模索する。

中国国内の各地域が貿易で比較優位を発揮できるようにする。中西部地域への産業移転促進による貿易拡大、東北地域からのコモディティー商品の輸出増加なども示しており、輸出が上海など沿海部に集中する傾向にある現状を調整していく方針とみられる。

また、主要輸出市場(国・地域)との間で各種検査・認証制度の相互承認を進めることなどにより、輸出製品の高度化も進める。電力、鉄道車両、通信設備、船舶、海洋エンジニアリング、エンジニアリング設備、航空機、宇宙関連設備などの大型設備・サービスの海外市場開拓を進めていくことを盛り込んだ。

中古車輸出の管理・促進システムも完備するとした。全国統一の輸出検査ガイドラインを実施するほか、条件を満たす企業が中古車輸出重点市場で共有パーツ倉庫を建設することを奨励することで、アフターサービスの品質の向上を図る。

さらに、国際経済・貿易の環境を最適化するため、WTO改革を支持し、国際貿易ルールの策定に積極的に関与し、より多くのハイレベルなFTAや地域貿易協定を締結するとした。そのほか、既に締結した「一帯一路」建設に関する協力文書を着実に実行し、「一帯一路」関係国などと貿易円滑化のためのワーキンググループや電子商取引・貿易救済の協力メカニズムを構築し、貿易における問題解決を推進する。

中国国際経済交流センターの魏建国副理事長(商務部元副部長)は実施意見について、「貿易の革新的な発展を推進するには、貨物貿易とサービス貿易を同時に発展させなければならない。また、貨物貿易では輸出のみならず、輸入も重視するべきだ(注)。越境ECの発展にも力を入れなければならない」と指摘している(「毎日経済新聞」10月29日)。

(注)商務部、国家発展改革委員会、財政部など9部門が11月3日、上海市など全国10カ所に「輸入貿易の促進・イノベーションモデル区」を新設することを発表するなど、輸入促進を図る取り組みも進んでいる(2020年11月11日記事参照)。

(趙薇)

(中国)

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