オーストリア、11月17日からロックダウン措置を強化

(オーストリア)

ウィーン発

2020年11月18日

オーストリアのセバスティアン・クルツ首相は11月14日、同月3日から部分的に再導入されているロックダウン措置(2020年11月4日記事参照)の強化を発表した。新型コロナウイルス入院患者数の急増により、集中治療室での受け入れ体制が逼迫しているため、さらなる追加措置を導入することとなった。11月17日午前0時から12月6日までの期間、以下のとおり厳格なロックダウンを実施する(ただし外出禁止は11月26日までの措置)。

○終日の外出禁止(ただし以下の場合などを除く)。

  • 身体、生命、財産への直接的危険の回避
  • 助けが必要な人の世話と支援
  • 日常生活を送るために必要な行動(必需品の確保、通院、葬儀への参加、ペットの散歩など)
  • 必要な職務のための通勤
  • 散歩や個人スポーツのような屋外での心身のリラクゼーション

○飲食店のテークアウトは午前6時から午後7時まで、宅配は終日可能。テークアウトの場合は店から50メートル以内での飲食禁止。

○生活必需品を取り扱う小売店(スーパーマーケット、薬局、ドラッグストアなど)の営業時間を午前6時から午後7時までに制限。

○銀行、ガソリンスタンド、郵便局の営業は認めるが、人と直接接触するサービス(美容院、マッサージ、エステなど)の営業は停止。

○アマチュア用の屋内および屋外スポーツ施設の閉鎖(ジョギングなど1人で行う屋外スポーツは可能)。

○学校は全学年でオンライン授業に移行。ただし、家庭でオンライン授業を受けることができない生徒は登校可能。幼児園も閉園とするが、家庭の事情によっては緊急保育が可能。

○可能な限りホームオフィス(在宅勤務)を推奨。職場で1メートルの距離を保てない場合はマスク着用を義務付ける。

○高齢者介護施設での面会は入居者1人に対して週1回1人に制限。訪問者には陰性証明書の提出、または医療用マスク着用を義務付ける。

ルドルフ・アンショバー社会・健康・福祉・消費者保護相は、ロックダウン措置が解除されるためには、病院の集中治療室の逼迫状況の改善と実効再生産数を少なくとも0.9に下げなければならないと述べた(11月13日時点の実効再生産数は1.21)。

ロックダウンにより、営業停止を余儀なくされる小売店やサービス業に対する支援策として、ゲアノット・ブリューメル財務相は、サービス業に対して2019年11月の売り上げの最大80%、小売店に対しては最低40%(注)の補助を発表した。さらに、営業活動は継続しているものの、「新型コロナ禍」により大きな損害を受けている企業には、1社当たり最大80万ユーロの固定費助成金(これまでの支給額を含む)が提供される。また、大企業向けには最大300万ユーロの固定費の補助が計画されている。

(注)生ものなど日持ちのしない商品や極端な季節商品には40%以上を補償。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

ビジネス短信 a2700a63f722b79e