観光やイノベーション分野の投資を呼び掛け、「日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラム」

(サウジアラビア、日本)

中東アフリカ課

2020年12月22日

ジェトロは12月16日、第4回「日・サウジ・ビジョン2030 ビジネスフォーラム」をオンライン形式で初開催した。両国の要人らが参加し、約580人が聴講した。

両国間の戦略的パートナーシップ「日・サウジ・ビジョン2030」の下で、サウジアラビア側は投資省(MISA)を中心に、主に観光とイノベーション分野でのビジネス協力の可能性や投資を呼び掛ける機会となった。新たに締結された14件のさまざまな協力覚書(MOU)や、2020年開設された投資省東京事務所の紹介もあった。

冒頭あいさつでは、ハーリド・アル・ファーレフ投資相と梶山弘志経済産業相が登壇し、両国間のパートナーシップの重要性や、12月15日に開催された第5回閣僚会合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの内容を紹介した。また、経済特区庁が、複数の経済特区での税制優遇などのインセンティブを通じて、同国の地域統括拠点としての地位を向上させたいとの構想を紹介した。

写真 アル・ファーレフ・サウジアラビア投資相のあいさつ(ジェトロ撮影)

アル・ファーレフ・サウジアラビア投資相のあいさつ(ジェトロ撮影)

写真 梶山経済産業相のあいさつ(ジェトロ撮影)

梶山経済産業相のあいさつ(ジェトロ撮影)

セッション1は、「観光」がテーマになった。観光省は、観光は「ビジョン2030」の柱の1つで、世界トップ5の観光地を目指すべく(1)年間1億人の観光客来訪、(2)観光業のGDP貢献の向上(3%から10%に)、(3)観光業による100万人の雇用創出という3つの目標があり、ホテル増設や空港開発を進める予定とした。観光開発基金は銀行と民間企業の資金協力をつなぎ、観光プロジェクトを支援することが可能とした。日本側からは、スタートアップのALEが、人工の流れ星を作り出す技術でサウジアラビアの観光振興に貢献できると講演した。

写真 観光開発基金のバデル・アルハルビシ氏(ジェトロ撮影)

観光開発基金のバデル・アルハルビシ氏(ジェトロ撮影)

セッション2は、「イノベーション・スタートアップ」がテーマとなった。冒頭で、中東北アフリカ(MENA)の有力スタートアップ調査会社マグニートが、サウジアラビアでのベンチャーキャピタル(VC)投資はeコマース、フィンテック、ロジスティクスなどの分野を中心に、ここ5年で急成長したと述べた。VCのSTVや投資会社リヤド・キャピタルは、デジタル分野のニーズが「ポスト・コロナ」で加速するため、海外テック企業の参入を促進し、同国のエコシステムで成長してもらうことが大切と述べた。日本側は、老舗VCジャフコ グループや、同社と協力してヘルステックなどに投資するジャミール商事(サウジ大手企業グループALJの日本法人)、ディープテックファンドのAbies Venturesが登壇し、日本のスタートアップのMENA地域でのビジネスの可能性や、許認可の取得など課題もあるものの、都市開発や環境などの分野では日本企業の技術が生きると期待を述べた。

写真 Abies Venturesの長野草太氏(ジェトロ撮影)

Abies Venturesの長野草太氏(ジェトロ撮影)

(米倉大輔)

(サウジアラビア、日本)

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