カナダ小売売上高、9月は5カ月連続増加も先行きは不透明

(カナダ)

トロント発

2020年12月04日

カナダ統計局が11月20日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした9月の小売売上高(季節調整値)は、前月比1.1%増の539億カナダ・ドル(約4兆3,659億円、Cドル、1Cドル=約81円)となった。小売売上高は4月にマイナス24.8%と大幅な減少を記録して以降、5カ月連続で増加している。第3四半期(7~9月)では、前期比22.6%増となった。

9月の小売売上高を業種別にみると、新車販売店(前月比1.7%増)を筆頭に、百貨店など一般雑貨店(1.8%増)、酒類販売店(4.8%増)、家具店(5.7%増)などが全体の伸びに寄与した。一方、スーパーマーケット(0.5%減)やスポーツ用品・書店など(1.6%減)は縮小した。

電子商取引を通じた小売売上高(非季節調整値)は、6月と7月は前月比マイナスとなり、8月は0.8%増にとどまったが、9月は9.8%(季節調整値では8.1%)増加した。前年同月比では74.3%増加と、大幅に拡大している。

主要州別(季節調整値)では、オンタリオは前月比1.0%増、アルバータは2.5%増、ブリティッシュ・コロンビアは1.7%増、ケベックは0.2%増と、それぞれ増加した。前年同月比でみると、ケベック(7.1%増)とブリティッシュ・コロンビア(8.0%増)が大きく伸び、オンタリオ(1.5%増)、アルバータ(3.8%増)も堅調に増加している。

トロント・ドミニオン銀行のエコノミスト、クセニア・ブッシュメネバ氏は、同社のウェブサイトを通じて「本日の発表はうれしい驚きだったが、9月以降、全国で新型コロナウイルスの感染状況が急速に悪化しているため、さらなる良いニュースは今のところ期待できないだろう。実際、グーグルが発表している移動に関するデータでは、小売店への人の流れは9月中旬ごろから減少傾向だ。ホリデーシーズンに向かう中で、マニトバ州での規制強化やオンタリオ州の一部での2回目となるロックダウン(都市封鎖)は、店内消費にとって良い兆候とは言えない」とコメントしている。

なお、カナダ統計局は、10月の小売売上高の推定値は横ばい傾向だった、としている。

(江崎江里子)

(カナダ)

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