移行期間終了後、英仏間の物流は混乱なく順調

(フランス、英国、EU)

パリ発

2021年01月05日

英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う移行期間終了後、英国・フランス間の物流に今のところ大きな混乱はなく、英仏海峡トンネルを管理運営するゲットリンクによれば、2020年12月31日~2021年1月1日に約200台のトラックが税関を問題なく通過した。

1月1日から稼働した、オンラインで税関審査を行う新たなシステム「ラ・フロンティエール・アンテリジェント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が正常に機能していることが大きい。これは、出発前に事前申請された積み荷について、税関が輸送中にリスク分析し、一部のトラックのみを「ピット・ストップ」と呼ばれる検査所でチェックするという仕組み。実際に積み荷の検査が必要だと判断された場合は1時間ほど時間を要するが、通常の審査は5~10分で完了する。

1月1日付の「ル・モンド」紙によると、移行期間終了後初めてカレー港にフェリーで到着した36台のトラックのうち、ピット・ストップで審査を受けたのは3台のみだった。移行期間終了に備え、フランス税関全体で700人、カレー港、ダンケルク港があるオー・ド・フランス地域圏だけでほぼ300人の税関職員を増員したことも迅速な税関審査に貢献した。

在フランス日系企業においても混乱などが生じているといった情報は、ジェトロに寄せられていない。

ただし、英国とEUの通商・協力協定の合意で関税の導入は免れたものの、英国向け輸出の通関手続きに必要となる書類は、例えばフランス産チーズについて従来は1枚だったが、1月1日以降は5枚に増えるなど、輸出に関わる実務コストは増加している、との事業者の声を12月28日の公共放送「フランス2」が伝えており、今後、英国向け商品の値上げを余儀なくされる輸出業者も出てくる可能性があるという。

(山崎あき)

(フランス、英国、EU)

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