トルコと英国のFTAが発効

(トルコ、英国)

イスタンブール発

2021年01月08日

トルコと英国間で自由貿易協定(FTA)が12月29日に締結され、2021年1月1日に発効となった。本協定により、英国のEU離脱による両国間の貿易上の負の影響が回避され、これまでと同様の貿易環境が維持されるかたちとなった。

トルコのルフサル・ペキジャン貿易相はFTA署名式(12月29日)において、「英国のEU離脱直後にFTAを締結しなかった場合、英国への輸出の75%が関税対象となり、24億ドル相当の損失が見込まれていた。本協定を結んだ結果、このリスクを回避することができた。英国はトルコの輸出先として第2位の国で、両国間にはサプライチェーンの絆も強い。本協定には全ての工業製品、農産物の無関税での貿易が含まれている。今後、サービスや投資の分野で協定を拡大するよう英国と協力し続けたい」とコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

本協定について、フォード欧州のスチュワート・ローリー社長は「英国のダグナム工場で生産するディーゼルエンジンを、トルコで生産しているフォードオトサンの商用車に利用している。その商用車は英国にも輸入されている。フォードとフォードオトサンを合わせた貿易取引額が両国間の貿易の10%以上を占めていることから、今回の決定は非常に重要な意味を持つ」とコメントしている(2020年12月29日付トルコ国営アナドル通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

トルコ統計機構の統計によると、2020年1~11月のトルコから英国への輸出額は101億ドル(輸出先として第2位)、英国からの輸入額は50億ドル(輸入先として第12位)だった。トルコから主に自動車、アパレル、白物家電、機械、鉄鋼などが輸出され、英国から主に機械、鉄鋼、自動車、医薬品などが輸入されている。

英国との貿易手続きについて、イスタンブール鉱工業輸出業者連盟(IMMIB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは貿易省の発表に基づき、次のように説明している。

1月1日から、官報において原産地規則および手続きに関する発表が行われるまでの期間、英国からの輸入に関して、インボイス等への原産地申告を含む税関が求める基準を満たす有効な原産地証明がある場合、輸入される製品は「その他」の国の税率の対象になるとされ、その税率を一時的に支払う必要がある。官報で原産地規則に関する発表がされた後は、輸入時に提出された原産地証明に問題がなければ、払い戻しが行われる。英国からトルコに輸入される製品で、12月31日から1月1日の間に輸送中のもの、税関の倉庫に保管されているものでまだ通関手続きが終わっていない製品は、EU関税同盟のルールで輸入手続きを行うことが可能。トルコから英国へ輸出されているものも同様の扱いとなる。

(エライ・バシュ)

(トルコ、英国)

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