2020年の実質GDP成長率は2.3%、輸出と投資が牽引

(中国)

北京発

2021年01月29日

中国国家統計局の1月18日の発表によると、2020年通年の実質GDP成長率は前年比2.3%となった(注1、2)。

主要経済指標をみると、投資(全国固定資産投資、農業を含まない)は前年比2.9%増、うち、インフラ投資は0.9%増、民間投資は1.0%増となった(注3)。消費(社会消費品小売総額)は3.9%減と前年比マイナスにとどまった。うち、インターネット上の実物商品小売額は14.8%増で、消費全体の24.9%を占めた。工業生産増加額(付加価値ベース)は2.8%増となった(注4、添付資料表参照、貿易については2021年1月27日記事参照)。

国家統計局の寧吉喆局長(国家発展改革委員会副主任を兼任)は、2020年の経済実績について、同年の名目GDPが101兆6,000億元(1,524兆円、1元=約15円)となり、初めて100兆元の大台に達したこと、名目GDPが1兆ドル以上の18の主要経済国・地域の中で、中国が2020年通年でプラス成長を達成する唯一の国となる可能性があることに言及した。

四半期別でみると、第4四半期の成長率が6.5%となり、新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込んだ第1四半期(マイナス6.8%)からの回復傾向が続いた(添付資料図参照)。中国国際経済交流中心の張永軍副総経済師は、第4四半期の6.5%の成長は予想以上だったとし、その要因として同期の輸出が想定以上に好調だったこと、投資が大幅に増加したことを挙げた。他方、国泰君安証券研究所の花長春グローバル首席エコノミストは、国内消費とサービス業が通常の水準より弱く、特に交通運輸、飲食、旅行業などの回復が遅れていると指摘した(「21世紀経済報道」1月19日)。

国家統計局の寧局長は、2020年通年では消費はマイナス成長となったものの、四半期別にみると消費のGDP成長に対する寄与度が回復していることなどを挙げ、「消費は経済の安定を支える重し」との認識を示した(注5)。その上で、消費の経済成長に対する寄与をいっそう高めるために、住民の消費能力を引き上げ、消費関連政策を整備し、消費環境を改善し、より多くの消費における成長分野を開拓しなければならないと述べた。

(注1)国家統計局のデータを基にしているCEICデータベースによると、2020年の実質GDP成長率に対する需要項目別の寄与度は、総固定資本形成(投資)が2.2ポイント、最終消費支出(消費)がマイナス0.5ポイント、純輸出(外需)が0.6ポイントとなった。

(注2)2019年通年と各四半期のGDPおよび成長率などは発表時点の数値から改定されている。

(注3)国家発展改革委員会によると、投資のうち、情報伝達、ソフトウェアおよび情報技術サービス業などの「新型インフラ」に関する投資が18.7%増だったほか、コンピュータ、通信およびその他の電子設備製造業、医薬品製造業などのハイテク製造業の投資が2桁増となった(「21世紀経済報道」1月19日)。

(注4)品目別では、産業用ロボット、新エネ車、集積回路、小型コンピュータなどの生産が2桁増となった。

(注5)CEICデータベースによると、2020年第4四半期(6.5%)の需要項目別寄与度は、投資が2.5ポイント、消費が2.6ポイント(前期比1.2ポイント上昇)、純輸出が1.4ポイントだった。

(小宮昇平)

(中国)

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