EU・英国間の通商・協力協定合意を歓迎

(オーストリア、英国、EU)

ウィーン発

2021年01月06日

EUと英国の通商・協力協定が12月24日に合意されたことを受け(2020年12月25日記事同日付記事参照)、オーストリアの政府や産業関係者から、歓迎と安堵(あんど)のコメントが寄せられた。

セバスティアン・クルツ首相は12月30日にツィッター上で、EUのミシェル・バルニエ首席交渉官のこれまでの尽力に感謝の意を述べた。マルガレーテ・シュランベック経済相も「オーストリア企業は1月1日以降も引き続き英国市場で重要な役割を果たし、英国はEUにとって今後も重要なパートナーであり続ける」として協定合意を歓迎した。オーストリア連邦産業院(WKO)のマリアナ・キューネル幹事長代理は「英国はこれからもオーストリアにとって重要な貿易パートナーかつ市場であり続ける。従って、オーストリアはあらゆる機会を利用して、同国とのパートナー関係をさらに緊密に、包括的に構築しなければならない」と述べた。産業家連盟(IV)のゲオルグ・クニル会長は今回の合意を歓迎するとともに、「協定が速やかに履行され、ブレグジット(英国のEU離脱)による変化が産業界にもたらす新たな課題に対しても、EUとオーストリア政府の関係者が迅速に対応することを希望する」と述べた。

オーストリア連邦首相府はこれまでも企業や個人向けにさまざまな情報を提供してきたウェブサイトに、ブレグジット専用ホットラインを新たに設置し、関税やロジスティクス、居住、旅行、データ保護など項目別に情報を発信している。財務省も12月1日に関税に関するホットラインを設置。また、ブレグジットにより増加する通関業務を円滑に行うために、関税職員の地域および全国レベルでの相互支援や、関税情報センター職員への研修を実施し、通関業者や商工会議所との密な情報交換を行っている。WKOは2020年にブレグジットに関するウェビナーを複数回開催。さらに、専用サイトを設けて関税や原産地証明など通関手続きの進め方について説明するとともに、個別相談にも対応している。

(田中由美子)

(オーストリア、英国、EU)

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