バイデン米政権、対ミャンマー制裁の対象に国軍幹部2人を追加

(米国、ミャンマー)

ニューヨーク発

2021年02月25日

米国財務省は2月22日、ミャンマーに対する追加制裁を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。11日に発表済みの国軍関係者10人および3企業(2021年2月12日記事参照)に加えて、国軍幹部でかつ国家統治評議会のメンバーであるモーミントゥン氏、マウンマウンチョー氏の2人を、制裁対象となる特別指定国民(SDN)に指定した。

財務省は追加の制裁措置について、ミャンマーの治安維持勢力による、平和的な抗議デモ参加者の殺害を受けたものとしており、国軍が民主的に選ばれた政府に権力を返還しないのであれば、さらなる行動もとり得るとしている。アントニー・ブリンケン国務長官も同日に声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出し、平和的抗議者や報道関係者らへの攻撃の停止、不当に拘束された人々の解放、そして選挙で選ばれた政府への権限返還を求めた。同長官は2月23日にも、ミャンマー国軍による行動を非難し、アウンサンスーチー国家最高顧問やウィンミン大統領を解放するよう呼び掛けたG7外相による共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに参画している。

また、商務省は、2月11日に発表していたミャンマー向け輸出管理の強化に関する詳細な内容を18日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表している。規則の変更自体は17日に有効となっている。官報によると、ミャンマー向けの輸出・再輸出時に事前許可が必要な製品(物品・ソフトウエア・技術、注)について、これまでは一般的に輸出管理規則(EAR)に基づき事例ごとの判断としていたところを、輸出・再輸出先がミャンマーの国防省、内務省、軍隊、治安維持部隊となる場合は、原則不許可の扱いになった。また、ミャンマー向けの輸出・再輸出・国内移転について認めてきた、4種類の許可例外を停止するとした。許可例外とは、輸出管理規則で定められた条件に該当する場合に、本来は必要な事前許可の取得を不要とするルールになる。商務省はこのほか、ミャンマー国内の事業体のエンティティ・リストへの追加や、現在は中国、ロシア、ベネズエラのみを対象に厳格化している、軍事エンドユーザーに焦点を当てた規則(2020年12月25日記事参照)の適用などの追加制裁措置も検討している。

(注)事前許可取得の要否は、商務省・産業安全保障局(BIS)が公開する規制品目リスト(CCL)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで製品ごとに指定されている輸出管理分類番号(ECCN)と、国ごとにリスク要因を指定しているカントリー・チャート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを基に判断する。詳しくは、ジェトロの調査レポート「厳格化する米国の輸出管理法令」を参照。

(磯部真一)

(米国、ミャンマー)

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