タミル・ナドゥ州が「産業政策2021」を発表

(インド)

チェンナイ発

2021年02月22日

インド南部のタミル・ナドゥ(TN)州政府は2月16日、現在適用されている「産業政策2014」を7年ぶりに改定し、「産業政策2021」(Tamil Nadu Industrial Policy 2021PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))を発表した。本政策は2021年1月から2025年3月までを期間とし、下記4つの目標を設定している。

  • 州内製造業の年間成長率15%の達成
  • 2025年までに10兆ルピー(約14兆円、1ルピー=約1.4円)の投資呼び込み
  • 2025年までに200万人の雇用機会を創出
  • 州経済における製造業の貢献度(Gross State Value Added)を現在の25%から2030年までに30%へ引き上げ

新産業政策では、上記目標の達成のために投資誘致活動を強化し、優遇措置などを拡充している。対象となる投資規模については、カテゴリー区分を細分化して小規模投資にも対象を拡大する。対象分野としては、現在の主要産業である自動車・自動車部品、化学、精密機器、重機、皮革製品、テキスタイル、金融サービス、ソフトウエアなどを引き続き重点産業分野としつつ、新たに「Sunrise Sectors」として宇宙航空・防衛、食品加工、再生可能エネルギー、エレクトロニクス、医療機器、電気自動車、バイオテクノロジー、医薬品などの分野に優遇措置を拡充し、州内の産業の多角化を目指す。また、研究開発(R&D)プロジェクト、工業団地開発、物流、海外直接投資にも焦点を当て、特に他国からの製造拠点の移管を積極的に呼び込むためのインセンティブも新たに設けた。

TN州はインド最大の工場数、工業人口を誇るとされており、自動車産業を中心に製造業が集積してきた。近年は、携帯電話を中心としたエレクトロニクス関連分野への投資も増加している。同州には、インドで唯一、日系企業が開発から運営まで参画している工業団地が3カ所立地している。今回の産業政策改定により、同州が日系企業にとって、さらに魅力のある投資先となることが期待される。

(奥野幸彦)

(インド)

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