台湾でも輸送コストが大幅上昇、投資コスト比較調査

(台湾)

中国北アジア課

2021年02月10日

ジェトロは、2020年11~12月に実施した台湾の投資コスト比較調査を2021年2月8日に公開した(添付資料参照)。本調査は、賃金、地価・事務所賃料、公共料金などの投資関連コストを調べたものだ。加えて、他の国・地域の都市と横並びで一覧比較が可能となるように米ドルにも換算し掲載している。調査に当たっては、公益財団法人日本台湾交流協会の協力を得て実施した。賃金、輸送を除く地価・事務所賃料、公共料金、税制などについては、前年調査時と比較して大幅な変化はなかった。

2020年の賃金水準は、製造業では、ワーカー(一般工職)、エンジニア(中堅技術者)で前年に比べ約1,000台湾元(約3,700円、1台湾元=約3.7円)増加した一方、中間管理職(課長クラス)は約1,000台湾元減少した。非製造業では、スタッフ、店舗スタッフを含め、全体的に賃金が上昇した中、マネージャー(課長クラス)の月額賃金は7万7,067台湾元と、前年の7万1,924台湾元より約5,000台湾元上昇した。法定最低賃金は5年連続で引き上げられ、これまでの2万3,800台湾元から200元増加し、2万4,000台湾元(2021年1月1日から施行)になった。名目賃金上昇率は1.43%(2020年1~9月時点)と、前年の1.95%(2019年1~10月)を下回った。

輸送コスト面では、40フィートコンテナを用いた際の基隆港から横浜港までの輸送費は、前年の調査時点で3,602台湾元だったが、今回は6.6倍の2万3,787台湾元だった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、世界的に輸送用コンテナ、スペースなどが不足したことから、価格が大幅に高騰した。こうしたコンテナ不足により、自動車部品の出荷停滞などをはじめ、幅広い業界が影響を受けているという。

台湾交通部は、世界の海運市場の需給が安定していないことから、引き続き関心を払いながら対応し、台湾の輸出入作業が円滑に行える環境を整備することで、台湾の国際貿易における競争力と経済成長を維持できるようにするとした(「経済日報」2021年1月23日)。

台湾交通部航港局は、域内産業の輸出入業務の安定化を維持するため、経済部、農業委員会など関係機関で「国際海運平穏工作小組」を設立したほか、航港局は、輸出入業者からの受注をスムーズに行えるよう、公式ウェブサイト上に「国際海運運輸平穏専區」を設置するなど、産業支援に乗り出している。

(北野真瑞)

(台湾)

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