高い技術力や勤勉な態度が連携の決め手、ロシア・スタートアップウェビナー開催

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2021年03月05日

ロシアでは近年、スタートアップ育成を促進するビジネス環境の整備が進んでいる。有力なスタートアップが相次いで出現しており、日本企業が連携する事例も生まれている。ジェトロはオンラインセミナーを開催し、ロシアのスタートアップエコシステムの現状や日ロ連携の展望、課題を解説した(2月25日)。

ジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課の齋藤寛課長代理は、ロシアのスタートアップエコシステム(地域・分析レポート特集「ロシア・デジタル経済政策とスタートアップ生態系」参照)と日ロ連携の展望について説明した。齋藤課長代理は、「新型コロナ禍」によって、ロシアのスタートアップはネガティブな影響を受けるどころか、逆に商機を見いだしている企業が約半数に上っており、国内だけでなく国外市場の開拓にも積極的に取り組んでいるとした上で、ロシアのスタートアップ支援機関も企業の外国展開を後押ししており、日本企業と連携したり、日本市場に進出を果たしたりするスタートアップが近年相次いでいると述べた。また、こういった状況の中、日ロ連携のネックとなっているのは日本におけるロシアに対するネガティブなイメージや日本企業の保守的な姿勢だと指摘した。

ロシア製ソフトウエアの輸入販売を行っているSCSKプラットフォームソリューション事業部門製造エンジニアリング事業本部解析ソリューション第二部の川勝徹郎部長は、CAEソフトウエア(注)を提供するロシア企業データドバンス(調査レポート「ロシア・スタートアップ事例集」参照)と販売代理店契約を締結した経緯と、ロシア企業との連携のポイントと課題を説明した。データドバンスとの出会いについて、欧州で行われた展示会で航空機製造世界大手エアバスからソフトウエアの紹介があり、よく調べてみると、ロシア企業が製作していることが判明したとし、データドバンスに関する情報がほとんどないことから、2年間かけて同社の資本関係から製品の仕様、問い合わせに対する応対品質まで徹底的に調査・テストした上で契約を締結したという。ロシア企業との連携の際のポイントについて、パートナー候補企業が、a.高い技術力を有すること、b.顧客の課題を解決するため徹底的に取り組む姿勢があること、c.勤勉であることを挙げた。一方、課題として、ロシアや同国企業に関する情報入手が容易でないことを指摘した。

ジェトロのイノベーション・知的財産部の森友梨職員は、3月16日にロシア最大級のイノベーション機関スコルコボと初共催するピッチイベントSkolkovo Online Mission Showcase “Solutions for Japan”について説明し、ロシアのヘルステック分野の有望スタートアップとの協業に関心をもつ日本企業の参加を呼び掛けた。

写真 「スコルコボ・イノベーションセンター」のテクノパーク(ジェトロ撮影)

「スコルコボ・イノベーションセンター」のテクノパーク(ジェトロ撮影)

(注)データを解析し予測モデルを作成する機能などを持つソフトウエア。

(宮下恵輔)

(ロシア)

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