議会総選挙の暫定結果発表、政権与党が敗北

(コソボ)

ウィーン発

2021年03月03日

コソボ議会選挙(一院制、定数120)が2月14日に実施された。中央選挙管理委員会は3月2日現在、最終的な結果をまだ公表していないが、同委員会の暫定結果によると、アルビン・クルティ党首率いる「自己決定運動(LVV)」が得票率47.85%で、2019年10月の前回選挙(2019年11月15日記事参照)同様に第1党となった。第2党はハシム・サチ前大統領(現在、オランダ・ハーグの国際司法裁判所でコソボ紛争の戦犯容疑で公判中)が率いる「コソボ民主党(PDK)」で、得票率は17.41%だった。アブドゥラッフ・ホティ首相が所属するコソボ民主連盟(LDK)は得票率を落として敗北し、第3党となった(添付資料表参照)。

今回の選挙は、憲法裁判所が2020年12月22日に、刑法上の有罪判決を受けた者が選挙に立候補することや、禁錮・懲役判決を受けた者に対する投票は無効としていることを理由に、詐欺罪と横領罪で有罪判決を受けていた議員の得票を無効と判断、これにより、ホティ首相は首相就任に必要な過半数の賛成を得られていないこととなり、ホティ内閣による解散・総選挙が実施された。

前回選挙では、クルティ党首のLVVが第1党にはなったものの、単独過半数には至らず、数カ月にも及ぶ連立協議が行われた。2020年2月にクルティ党首は首相に就任したが、その後、辞任。LDK、AAK、NISMA、SLなどの連立によるホティ内閣が成立した。今回の選挙も、LVVが単独で過半数には至らず、クルティ党首が今後、どのように連立協議を行って行くのかが焦点となる。

また、2020年9月にはドナルド・トランプ米国大統領(当時)の仲介の下、セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領とコソボのホティ首相が出席し、セルビアとコソボの経済関係正常化の合意がなされた。米国・セルビア、米国・コソボ間でそれぞれ個別に締結されたもので、この締結には、セルビアとコソボを結ぶ高速道路や鉄道の整備計画などを含むインフラ、人・財・資本・サービスの両国間での自由な移動(「ミニ・シェンゲン協定」)の保障が盛り込まれた。今回の選挙でホティ首相率いるLDKが敗北したことと、米国のトランプ政権からバイデン政権への交代などにより、これらの合意事項が履行されるのかも懸念される。

なお、今回の選挙は民主的に行われる見込みという理由から、EUからの国際選挙監視団の派遣は見送られた。

(鈴木秀男)

(コソボ)

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