国民議会選で与党が過半数を獲得するも、議席減らす

(コートジボワール)

アビジャン発

2021年03月12日

コートジボワールで3月6日、国民議会選挙が実施された。過去10年で初めて、国内全ての政治勢力が参加したことで注目されていた。

独立選挙委員会が9日に発表した公式暫定開票結果によると、全国204選挙区(候補者死亡で1選挙区の投票延期)の254議席に対して1,266人が立候補し、与党「民主主義と平和のためのウフェ主義者連合(RHDP)」が最多の137議席を獲得した。次いで「コートジボワール民主党(PDCI)/民主主義と主権のための連携(EDS)」連合が50議席、無所属が26議席、PDCIが23議席、EDSが8議席、「イボワール人民戦線(FPI)/コートジボワール民主主義・平和同盟(UDPCI)/全アフリカ正義と平等のための会議(COJEP)」連合が8議席、FPIが2議席をそれぞれ獲得した(注)。投票率は37.9%だった。

RHDPは過半数を確保したものの、改選前と比べて30議席減らした。RHDPから現職閣僚30人が立候補したが、8人が落選した。

RHDPは、26議席で第3勢力となった無所属議員を取り込んで、政権基盤をより強固にしたい意向だ。既に、当選した無所属26人のうち一部がRHDPへの同調を明らかにしているが、絶対安定多数の3分の2の議席数(170議席)には達していない。

選挙監視団は、一部の投票所で選挙資機材の欠如や投票開始の遅れなど技術的不備がみられたとしているものの、選挙自体は大きな混乱もなく平和裏に実施されたと評価している。憲法評議会は近く、選挙結果について認定を行う。

コートジボワールの国民議会選挙は中選挙区制の名簿選択方式だ。全国33県に205選挙区があり、うち169が議席1の小選挙区、36が議席2以上の中選挙区だ。中選挙区では各政党が議席数分の候補者を提示し、政党ごとに投票する。最多票を獲得した政党に全ての議席が割り当てられる方式だ。

2020年10月に実施された大統領選挙で3選を果たしたアラサン・ワタラ政権(2020年11月4日記事参照)は、国民議会と上院の両院で多数を占めたことから、今後の政権運営で安定した基盤の上に立つことになる。一方、PDCIとUDPCIが連立政権内の主導権争いにより与党連合から離脱するなど、求心力の低下が懸念される。

(注)PDCI、EDS、FPIについては、他党との連合か否かによって異なる勢力となっているため、別々に集計されている。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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