電力産業法改正の合憲判断までの差し止め措置が確定

(メキシコ)

メキシコ発

2021年03月22日

メキシコのフアン・パブロ・ゴメス・フィエロ経済競争・放送・通信行政担当第2裁判官は3月19日、民間事業者2社が提訴した庇護訴訟(アンパロ、注)の過程で3月10日付で暫定的な適用差し止めを命じていた電力産業法の改正(2021年2月3日記事2月25日記事3月4日記事3月11日記事3月15日記事参照)について、合憲判断が出るまでの差し止め措置を確定する決定を出した。前日の18日に公聴会を開き、行政府と民間事業者の双方の主張や論拠を集めた上で、同法改正は自由競争の基本的権利を侵害し、電力の消費者にも悪影響を与える可能性があるとともに、従来の化石燃料を使用した発電を促進する一方でクリーンエネルギーによる発電を妨げることにより、環境に対して差し迫った修復不能な害を与え得ると結論づけた。

今後、アンパロ法のプロセスに基づき、4月27日に法改正が合憲かどうかを審理する公聴会が開かれ、その結果として違憲と判定されれば、法改正の効力は最終的に失われる。反対に合憲となれば、差し止め措置は解除され、法改正の効力が復活する。行政府や立法府、地方自治体などはアンパロと並行して、最高裁の憲法訴訟で合憲性を争うことも可能だ。

大統領は憲法改正案の国会提出も示唆

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領と電力庁(CFE)はそれぞれ3月16日と3月17日に、ゴメス裁判官が出した暫定的差し止め措置に対する不服申し立てを経済競争・放送・通信行政担当高等管区裁判所に出していた。しかし、高等管区裁判所の審理が終わる前に差し止めが確定したため、暫定的差し止め措置に対する不服申し立ては無効になった。AMLO政権は今後10営業日以内に、差し止め確定について、高等管区裁判所に決定の見直しを提訴することができる。

AMLO大統領は3月19日、差し止めが確定したことについて強い不満を表明し、本件については(高等管区裁判所ではなく)最高裁で争うことになるだろうと語った。また、仮に最高裁判所で法改正が違憲と判断された場合、今度は憲法を改正する法案を国会に提出し、民間事業者との不当競争からCFEを保護するための措置について、憲法を改正してでも導入する考えをあらためて示した(「レフォルマ」紙電子版3月19日)。

(注)行政府や立法府、司法府などの行為により、憲法が保障する国民や企業の基本的権利が侵害された場合、当該行為の差し止めと無効を求める裁判制度。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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