税制改正法案を提出、23兆4,000億ペソの税収増を目指す
(コロンビア)
ボゴタ発
2021年04月23日
コロンビア大蔵・公債省は4月15日、税制改正案をまとめた「持続可能な連帯法(Ley de Solidaridad Sostenible)」を国会に提出した。パンデミックによる歳入損失を補い、経済的に脆弱(ぜいじゃく)な世帯向けの支援プログラムを継続および拡大させるため、23兆4,000億ペソ(約7,020億円、1ペソ=約0.03円)の歳入増加を目指す。
改正案の主なポイントは、付加価値税、個人所得税、法人税の3種類の改正だ。付加価値税については、食品およびそれらの生産ラインに含まれる品目の税率は引き上げないとする一方、それ以外の品目・サービスで課税対象を拡大する。社会経済階層による地域区分(注)の「4」、「5」および「6」地域の水道光熱費、180万ペソまでのパソコンおよび携帯電話などについては、新たに19%の課税対象となる。また、太陽光発電インバーター、温室効果ガス排出削減のための機械設備、自転車および電動自転車などは、5%の特別税率適用となる。ガソリン・軽油、資本財などは、5%から19%へ引き上げられる。
個人所得税については、2024年までに段階的に課税所得金額を広げる。2022年は年間所得額5,000万ペソ以上、2023年は3,500万ペソ以上、2024年は3,000万ペソ以上の個人を課税対象とするとしている。大蔵・公債省によると、コロンビアの所得税収はGDPの6.2%だが、内訳は法人が5%、個人が1.2%となっている。OECD諸国の所得税収はGDPの11.3%で、法人が3%、個人が8.3%。新興国平均でも6.7%のうち法人が3.7%、個人が3.0%だ。コロンビアは他国と比べて個人所得の税収割合が少なく、課税所得金額を引き下げることで所得税収を上げることを目指す。
法人税については、パンデミックの影響がより深刻な中小企業を支援するため、課税所得年額5億ペソ以下の企業は税率が30%から24%へ引き下げられる。5億ペソ以上の企業は30%と、現行税率を維持する。ただし、2022年および2023年は、全ての企業に上乗せ課税3%が課されることから、課税所得年額5億ペソ以上の企業にとっては実質増税となる見込みだ。
イバン・ドゥケ大統領は4月19日、議会に対して同法案の審議を早急に進めるよう求めた。新型コロナウイルスの影響による経済的・社会的影響を受けた財政を立て直し、社会支出を強化するためにも、政府は早期成立を目指す。
(注)居住地域を1~6に分け、1~3の地域に居住する世帯は公共料金割引の適用を受けられ、5~6の地域に居住する世帯は割増料金を支払う仕組みとなっている。
(茗荷谷奏)
(コロンビア)
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