米石油大手エクソンモービル、1,000億ドル規模のCO2貯蔵構想を提案

(米国)

ヒューストン発

2021年04月21日

米国石油大手エクソンモービル(本社:テキサス州アービング)は4月19日、ヒューストン地域の石油化学工場から排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、メキシコ湾の海底に貯蔵する官民共同事業構想を提案した。

この構想について、エクソンモービルの低炭素ソリューション事業のジョー・ブロンマート社長は、CO2回収量を2030年までに5,000万メートルトン、2040年までに1億メートルトンとする計画だと述べている。実現に向けては、企業や政府機関から1,000億ドル以上の資金支援が必要になるという。

メキシコ湾の石油ガス層は大量のCO2を貯蔵できる可能性があると長い間みられてきたが、難点はコストがかさむことだ。現行の環境規制下では、貯蔵よりも単純に大気中に放出する方がコストはかからない。エクソンモービルは、政府が適切な財政的インセンティブを与えることにより、本計画が実現し、米国のCO2排出量を大幅に削減することができると考えている。

エクソンモービルは、本事業のメリットとして、ヒューストン地域だけでなく、米国全体の2050年までのカーボンニュートラルの達成に資するものとなること、加えて、国内最大の産業排出源の1つを効果的に脱炭素化できる可能性があり、雇用の創出や維持も期待できることを挙げる。また、今回のヒューストン地域での知見は、米国中西部やメキシコ湾沿いの地域など、適切なCO2貯留場の近くに産業施設が集中している地域でも活用可能だとしている。

ロイター通信によると、エクソンモービルは、CO2回収が2040年までに2兆ドル規模の市場になると見込む。同社は、米国で今後導入される可能性のある炭素税(カーボン・プライシング)(2021年3月31日記事参照)やバイデン政権が正式にパリ協定復帰した(2021年2月24日記事参照)ことを支持している。

(沖本憲司)

(米国)

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