VW、サプライチェーン間のデータ共有を進める「カテナ-X」に参加

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年05月11日

ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は4月26日、自動車関連企業間のデータ共有を可能にするアライアンス「カテナ-X自動車ネットワーク(Catena-X Automotive Network)」に創設メンバーとして参加することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

VWはカテナ-Xへの参加を、同社の約4万社の部品供給企業や協業企業との供給網を整備するためのさらなる一歩としている。同社は2019年、アマゾンウェブサービス(AWS)およびシーメンスと産業用クラウドを構築しており、カテナ-Xへの参加で同クラウドの相乗作用が進む可能性があるとしている。

ムラート・アクセルVW取締役(調達担当)は「サプライヤーからメーカーまで一気通貫でデータを共有することで、材料・部品の流れを効率的に管理でき、ボトルネックをいち早く識別できる」としている。

自動車産業に関わるドイツ企業が上流から下流まで参加

カテナ-Xは、2021年3月に経済・エネルギー省が開催したオンラインイベントで、ダイムラーとBMWがその設立を発表していた。同アライアンスは、自動車産業のサプライチェーン間でデータを交換・共有するためのプラットフォーム。情報・データ交換などを標準化することで、(1)自動車産業の競争力を強化し、(2)企業間協力の効率性を高め、(3)企業間プロセスを加速することを目指す。

第1段階として、カテナ-Xはデータ共有によって、生産性、持続可能性向上に寄与する5分野を特定。(1)品質管理、(2)物流、(3)保守・保全、(4)サプライチェーン管理、(5)持続可能性の分野でパイロットプロジェクトを進めていく。中期的には、生産、開発分野も視野に入れる。

カテナ-Xには、現時点で25社・団体が参加している。自動車メーカーではVW、BMW、メルセデス・ベンツ、自動車部品ではボッシュ、シェフラー、ZF、通信・ソフトウエアではドイツテレコム、SAP、化学・素材ではBASF、ヘンケル、産業用機械ではシーメンスなど、自動車産業に関わるドイツ企業が上流から下流まで参加する。加えて、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、フラウンホーファー研究所などの研究機関も参画している。DMG森精機の子会社で、工場のデジタル化などのサービスを提供するISTOSもメンバーになっている。

BMWなどの発表によると、カテナ-Xの成功には中小企業の積極的な参画が重要なため、中小企業でも多額のITインフラ投資なく参画できるかたちにしているという。既に中小企業の参加もあり、ドイツ経済紙「ハンデルスブラット」(2021年4月27日)によると、200社以上が関心を示しているという。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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