300万人超の年金引き出し非対象者に20万ペソを支給

(チリ)

サンティアゴ発

2021年05月10日

チリで4月28日に施行された3度目の年金引き出し法(2021年4月30日記事参照)の対象となっていなかった、過去2回の年金引き出しによって既に積立額が残っていない約300万人の加入者を救済する目的で国会へ提出された政府案が5月6日に可決された。本法が施行されることで、2021年3月31日までに年金積立額が0となった加入者は、政府から20万ペソ(約3万2,000円、1ペソ=約0.16円)の支給を受け取ることができる。また、積立額が0ではないものの20万ペソに満たない加入者に対しては、積立額と政府支給額を合わせて20万ペソを上限に支給が行われる。政府の発表によると、積立額が0の加入者は286万7,862人、0ペソ超20万ペソ未満の加入者は65万7,157人存在し、これはチリの全人口の約18%に相当する。対象者への支給は、官報掲載から30日以内に行われる予定となっている。

なお、今回、政府により国会へ提出された当初の法案には、ほかにも、3度にわたる年金の引き出しによって多大な影響を被った年金システムを「救済」する目的の下、新たに加入者の賃金の1%に当たる金額を雇用主が、もう1%を政府が負担し、個々人の積立額に加算するという内容が含まれていたことで大きな波紋を呼んだが、これについては否決されている。

(岡戸美澪)

(チリ)

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