専門サービス・工事のための人材派遣業者の登録に関する細則を官報公示

(メキシコ)

メキシコ発

2021年05月25日

メキシコの労働社会保障省(STPS)は5月24日、連邦労働法第15条に基づき、専門サービス・工事のための人材を派遣する事業者の登録制度に関する細則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを官報公示し、翌日に施行した。人材派遣を規制する連邦労働法の改正(2020年11月13日2021年4月14日4月15日4月22日4月27日記事参照)に基づくもので、改正施行令の付則2条に基づき、STPSが法改正の発効から1カ月以内に公示することとなっていた。改正後の連邦労働法は、第12条で人材派遣を原則として禁止する一方、第13条で「派遣先企業の事業目的や優先的な経済活動の一部を形成しないサービス・工事」であれば、人材の派遣を認めている。ただし、第15条に基づき、STPSに対して登録を行った企業のみが専門サービスや工事のための人材を派遣することができる。

細則の第8条は、STPSの専用サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて、専門サービス・工事派遣業者が登録を行うことを定めており、後日、登録簿は一般公開される。登録のためにはさまざまなデータを入力し、法的代表者のIDや代表権授権証書、定款などをウェブサイトに電子ファイルでアップロードする必要がある(添付資料参照)。また、登録申請時に租税債務や社会保険料の滞納がないことが求められるほか、提供するサービスや工事が専門的であることを証明することが必要になる。ウェブサイトにおける申請から、STPSが登録通知を発行するまでの期間は20営業日で、20営業日たっても回答がない場合は申請者が督促をし、さらに3日たっても回答がない場合は登録申請が承認されたと見なされる。登録の有効期間は3年で、有効期限の3カ月前から更新手続きが可能となる。

専門性の定義が曖昧

今回公示された細則では、専門サービス・工事の定義として、「事業者の活動が、人材育成、認証、当該活動を行うための許認可、装備、技術、資産、機械設備、危険度、従業員の給与水準、経験などから特徴的、かつ識別可能なサービスや工事で、派遣先企業に付加価値を与えるもの」と規定している(細則第2条VII項)。他方、改正後の連邦労働法の第13条に基づき人材の派遣が認められるのは、「派遣先企業の事業目的や優先的な経済活動の一部を形成しないサービス・工事」においてで、あくまで派遣先企業との関係性で合法性が判断される。今回の細則では、どのような業種が登録対象となるのかについての明確な指針にはなっておらず、また、専門サービスの提供を受ける企業にとっても、当該サービスの享受についての合法性の判断を行うための明確な指針にはなっていない、と指摘する声がある。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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