AIが徐々に普及も企業規模別の格差が存在、業界の調査

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2021年05月06日

ドイツIT・通信・ニューメディア産業連合会(BITKOM)は4月21日、在ドイツ企業の人工知能(AI)の利用状況に関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。調査は2021年2月から3月末に、従業員20人以上の企業を対象に電話インタビュー形式で実施され、603社が回答した。

調査では、AIを利用している企業の回答者の割合は8%と、2020年の6%から微増した。AIの利用を予定・検討している企業は22%から30%に増加した一方、利用を検討しないと回答した企業は71%から59%に大きく減少した。AIを利用していないとの回答者を対象にした、「なぜAIの利用をしなかったか」という設問(複数回答可)に対し、49%が「人材不足」、47%が「時間不足」、46%が「財源不足」、44%が「AIの導入がどの分野で有意義なのか様子をみる」と回答した。

AI利用のメリットについては、プロセス最適化に関する分野では「より速く正確な問題の分析が可能」(44%)、「プロセスの加速」(35%)、従業員に関する分野では「日常業務での人的ミスの回避」(39%)、「専門知識の提供」(31%)、ビジネスモデルに関する分野では「既存製品やサービスの改善」(21%)、「新製品・サービスの提供が可能」(17%)が挙げられた(複数回答可、添付資料表1参照)。また、利用企業に対して用途を聞いた設問では、「マーケティング(パーソナライズ広告)」(71%)、「生産およびメンテナンス」(64%)、「顧客サービス(問い合わせの自動応答システムなど)」(63%)、「販売(顧客行動の分析)」(53%)が挙がった(複数回答可、添付資料表2参照)。

投資状況に関する設問に対しては、2021年中にAIに投資する予定の企業は8%と低い水準にとどまり、2022年およびそれ以降に投資を予定している企業、既にAIに投資している企業がそれぞれ16%を占めた。一方、AIに投資したことがなく今後も投資予定のない企業は57%だった。2021年中にAIに投資する予定の企業を従業員規模別にみると、20~99人の小~中規模企業の投資率はわずか6%だった一方、500~1,999人の企業では21%、2,000人以上の大企業では23%だった。

アヒム・ベルク会長は「『新型コロナ禍』がAIへの投資の躊躇にも影響する可能性はあるが、過去に自社のデジタル化に投資した企業は新型コロナウイルスのパンデミックの影響に対しうまく対応できているため、AIへの投資も重要と理解するべきだ」と指摘した。

(ベアナデット・マイヤー)

(ドイツ)

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