チェコ政府、国家復興計画を承認、産業界は不満を表明

(チェコ、EU)

プラハ発

2021年05月20日

チェコ政府は5月17日、総額2,000億コルナ(約1兆400億円、1コルナ=約5.2円)の国家復興計画を承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは、EUの復興基金の中核部分である「復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)」」(2020年9月24日付地域・分析レポート参照)からの支援を受けるための指針となるものだ。この中で、チェコは補助金1,720億コルナと融資280億コルナの割り当てを求めている。国家復興計画は、6つの柱から構成されている(添付資料表参照)。

各項目の履行に当たっては、産業貿易省内に新たに国家復興計画担当部署が設置され、その状況を管理する。

カレル・ハブリーチェック産業貿易相の同日の記者会見での発言によると、各項目を通じて、デジタル化には450億コルナが投じられ、全予算に対する比率は23%となる。これは、欧州委員会の最低条件の20%を3ポイント上回っている。また、グリーン化の割当額は820億コルナで、その比率41%は、欧州委員会が提示した最低条件の37%を4ポイント上回り、チェコはこの部門への支出割合が最も高い国に属している。

これに対して、国内企業団体は、企業を対象とした支援が不十分な点を指摘し、批判してきている。産業連盟は4月26日付見解表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で、承認前の同計画案について、産業と民間企業部門への割当額が明確に示されていないとして不満を表明しており、「国家復興計画は主として経済の発展とその耐性強化のために利用されるべきで、国家予算案の代案であってはならない」と警告した。

また、チェコ商工会議所のウラジミール・ドロウヒー会長は5月17日、特にデジタル化に関して、国家復興計画において予算が投じられる予定の「国家機関のデジタル化、高速インターネットの整備、建設許可取得過程のデジタル化・迅速化、長期的な安全輸送保証のためのインフラ整備などは、本来、政府が国家予算で賄うべきもの」と指摘、「国家復興計画においては、現在、煩雑な手続きやペーパーワークに追われている企業の負担を軽減するための、具体的なデジタル化プロジェクトに、より多くの予算を投じるべき」と提言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(中川圭子)

(チェコ、EU)

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