タイ商務省、ASEAN経済共同体ブループリント2025の進展発表
(タイ、ASEAN)
バンコク発
2021年05月13日
タイ商務省貿易交渉局(DTN)は4月28日、ASEAN経済共同体(AEC)ブループリント2025(170KB)の中間評価(MTR)について、単一市場・生産拠点の構築や競争力強化、経済連結性、中小企業育成、非ASEAN諸国との統合深化などの複数分野で進展があったことを明らかにした(商務省プレスリリース)。ASEANは2015年のAEC創足後、AECブループリント2025により2016~25年までの経済統合の方向性を示していた。当初5年間の成果や課題をモニタリング評価するために作成した中間評価(MTR)報告書が28日のASEANのオンライン会議で発表された。
DTNのオラモン局長によると、会議では23分野(例:物品貿易、貿易円滑化、サービス貿易、知的財産、非ASEAN諸国との統合)の分野別作業の進捗を確認し、達成済みの課題や改善すべき課題を特定した。政治や経済、技術、感染症拡大など、状況変化に伴う課題・障害についても分析した。
DTNによると、主な進捗状況は以下のとおり。
- (関税措置撤廃、非関税措置撤廃・最小化、貿易円滑化、サービス・投資の自由化による)単一の市場・生産拠点への前進:ブループリント達成に必要な措置数が517措置、達成率は60.3%
- (効果的な競争政策、イノベーション促進、知的財産保護による)ASEANの競争力強化: 337措置、42.1%
- 〔ASEAN域内での輸送、情報通信技術(ICT)、電子商取引(EC)、エネルギー、観光の連結性強化による〕経済連結性と分野別協力の促進:734措置、52.0%
- 〔中小零細企業(MSME)と民間企業の役割強化、官民連携の発展、開発格差の縮小による〕強靭(きょうじん)性向上と公平な経済発展:131措置、43.5%
- 〔自由貿易協定(FTA)を通じた〕世界経済に向けた地域統合:33措置、54.5%
オラモン局長は、過去5年間でASEANが達成した顕著な成果として、以下の事項を挙げた。
- 関税撤廃実施率が98.6%に到達
- ASEANシングルウィンドウ(ASW)導入、原産地証明書の電子的交換が実現
- 電気・電子機器、医薬品、加工食品、自動車製品の相互認証協定(MRA)の署名
- ASEANサービス貿易協定(ATISA)の署名(不要な規制による障壁削減)
- ASEAN電子商取引協定への署名(EC利用への信頼・信用醸成、越境EC促進)
- 世界最大のFTAの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定への署名
(シリンポーン・パックピンペット、北見創)
(タイ、ASEAN)
ビジネス短信 9205d714c641dff9