豊田通商グループのネクスティ、カナダスタートアップのアセルタと業務提携

(カナダ、日本)

トロント発

2021年06月02日

豊田通商グループのエレクトロニクス商社、ネクスティ エレクトロニクス(以下、ネクスティ)は5月12日、自動車向け機械学習プラットフォームのプロバイダーであるカナダのスタートアップ、アセルタ・アナリティクス(以下、アセルタ)と、コネクテッドカーの安全性・効率化に関する業務提携を発表した。

この提携を通じて、アセルタの機械学習プラットフォームとネクスティの車両データプラットフォームをリンクし、車両部品の劣化または故障を診断・予測する。これにより、自動車メーカーや部品サプライヤー、輸送サービス会社は車両の状態や、それに応じたメンテナンス時期の把握が可能になるという。

写真 ネクスティとアセルタの業務提携の概要(アセルタ提供)

ネクスティとアセルタの業務提携の概要(アセルタ提供)

ジェトロは5月28日、アセルタのグレタ・クトゥレンコ最高経営責任者(CEO)に、今回のネクスティとの業務提携の狙いや日本市場への期待などについて聞いた。

(問)ネクスティとの提携はアセルタにとってどのような意味を持つか。

(答)アセルタは2017年から日本市場を視野に入れており、既に大手自動車メーカーとのプロジェクトのほか、富士通ともパートナーシップを結んでいる。今回、ネクスティが日本での販売パートナーとなることで、日本市場で知名度をさらに上げたい。また、故障検出用の人工知能(AI)の開発実績のある当社がネクスティの製品ラインアップに加わることで、両社がともに成功することを期待している。

写真 クトゥレンコCEOはフォーブスの「30-UNDER-30(世界を変える30歳未満の30人)」の製造業部門に選出されたこともある(アセルタ提供)

クトゥレンコCEOはフォーブスの「30-UNDER-30(世界を変える30歳未満の30人)」の製造業部門に選出されたこともある(アセルタ提供)

(問)アセルタの技術の特長は。

(答)アセルタの機械学習・AI技術は、CASE(C:相互通信、A:自動運転、S:シェアリング、E:電動化)時代により精緻さが求められる自動車・自動車部品の製造工程で、その生産品質を継続的に向上させることができる。アセルタのAI技術が使われることで、今回の業務提携でも、製造工程の車両・部品データの変化を見逃さず、省人化や自動化とともに、品質の継続的モニタリングが実現可能になる。

(問)日本市場での今後の方向性は。

(答)これまでは自動車メーカーとティア1の自動車部品サプライヤーの顧客獲得に注力してきたが、将来的にはティア2やティア3のサプライヤーにも自社のテクノロジーを提供したい。また、今後は自動車以外の二輪車や物流車両、オフロード車両など、あらゆる車両メーカーとも連携していきたい。

(江崎江里子)

(カナダ、日本)

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