北部の治安対策で諸外国との調整続く

(モザンビーク)

マプト発

2021年06月07日

モザンビークのフィリペ・ニュシ大統領は、フランスで5月18日に開催された「アフリカ経済の資金調達に関する首脳会合」出席のため同国を公式訪問し、エマニュエル・マクロン大統領やフランス資源大手トタル幹部ら会談した。モザンビーク北部カーボ・デルガド州でのイスラム系武装勢力の影響による天然ガス開発プロジェクトの中断(2021年4月30日記事参照)と同勢力に対する今後の対応が主要議題の1つとなった。モザンビーク政府広報によると、マクロン大統領との首脳会談では、両国間や多国間協力により治安問題に対応していく方向性を確認した。トタルのパトリック・ブヤンヌ会長兼最高経営責任者(CEO)はニュシ大統領に対し、治安情勢が回復次第、ガス開発を再開することを約束したとしている。

南部アフリカ開発共同体(SADC)は4月、モザンビーク政府による武装勢力への対応支援を検討する技術チームをモザンビークに派遣した(2021年4月20日記事参照)。報道によると、技術チームは約3,000人からなる軍事介入部隊をモザンビークに派遣することをSADC閣僚機構に勧告し、決定権を持つ南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領と、ボツワナのモクウィツィ・マシシ大統領、ジンバブエのエマーソン・ムナンガグワ大統領、ニュシ大統領が勧告を受け入れるか注目されていた(「クラブ・オブ・モザンビーク」4月28日)。5月27日にはダブル・トロイカ・サミットがマプトで開催され、サミット後のSADC声明では、軍事介入の有無を含めた具体的な支援内容は示さず、6月20日までに臨時サミットを招集することとなった。

モザンビーク国内では、SADCサミットを控えた5月25日に、最大野党「モザンビーク民族抵抗運動(RENAMO)」のオスフォ・モマデ党首が報道に対し、SADC部隊が配備されることを期待していると述べるなど、軍事力による治安問題の解決を求める声が高まっている。

(松永篤)

(モザンビーク)

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