ASEANと中国の特別外相会合、南シナ海やミャンマー情勢など議論

(ASEAN、中国、ミャンマー)

ジャカルタ発

2021年06月11日

ASEANと中国の対話国関係樹立30周年を記念するASEAN中国特別外相会合が6月7日、中国の重慶市で開催された。両者の経済協力や南シナ海問題、直近のミャンマー情勢(2021年2月1日記事参照)について議論が行われた。

会合後に発表された共同議長声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、ASEANと中国はさまざまな分野で協力関係を強化する。具体的には、気候変動や生物多様性、海洋ごみ問題などを含む環境分野や、ASEANの第4次産業革命(4IR)促進に向け協力していくことで一致した。また、2019年の中国ASEAN首脳会合で採択した「ASEAN連結性基本計画(MPAC)2025(注)および一帯一路イニシアチブの相乗効果創出にかかる中国ASEAN共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の実行や、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の早期発効を推進していくことでも合意した。新型コロナウイルス関連では、ASEANが中国のワクチン供給に謝意を示した。中国とASEAN加盟国の一部が抱える南シナ海をめぐる海洋権益問題に関しては、行動規範(COC)の早期締結に向け交渉を再開することで一致した。

ミャンマー情勢へ中国のサポート期待

議長声明では触れていないが、直近のミャンマー情勢についても議論が行われた。シンガポール、インドネシア、マレーシアは4月のASEAN首脳級会議で発表された「5項目の合意」(2021年4月27日記事参照)をミャンマーが履行していないとして、不満を表明した(「ストレーツ・タイムズ」紙6月8日)。インドネシアのレトノ・マルスディ外相は会合後の記者会見で「直近の課題は合意の即時実行だ」とし、中国によるサポートに対する期待を表明した。

(注)ASEANは、域内の連結性向上による経済統合の推進と域内格差の是正を目指し、2010年から同計画を策定している。最新のMPAC2025では、(1)持続可能なインフラ建設、(2)デジタルイノベーション、(3)輸送円滑化、(4)規制運用の進化、(5)人の移動の促進の5つの重点分野を掲げている。

(上野渉)

(ASEAN、中国、ミャンマー)

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