カナダのトルドー首相、タリバン政権を認める予定なし

(カナダ、アフガニスタン)

トロント発

2021年08月20日

カナダのジャスティン・トルドー首相は8月17日、カナダはタリバン政権をアフガニスタンの合法的な政府として認める予定はないことを明言した(CBCニュース8月17日)。また、「タリバンは正式に選出された民主主義政府を力ずくで乗っ取り、取って代わった。(20年前に)タリバンが政権を握った時もカナダは認めておらず、現在、カナダの法の下でタリバンはテロリスト組織と認識されている」と述べ、今後も各国と協調して市民の安全確保のため、タリバン政権へ圧力をかけていくとした。

タリバンが首都カブールを掌握した8月15日は、カナダの下院議会解散(2021年8月18日記事参照)と重なったため、各野党は政府の対応の遅さや、この時期に解散・総選挙に踏み切ったことへの是非について批判はしているものの、タリバン政権に対しては一致して承認しない姿勢をとっている。

カナダ政府は、カナダ軍の通訳や大使館の勤務者などカナダ政府との関係を持つアフガニスタン人とその家族、さらに、女性指導者、人権擁護者、性的少数者(LGBTI)、ジャーナリストなど、弱い立場にあるアフガニスタン人に向けた特別移民プログラムを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、2万人を受け入れることを明らかにしている。

8月17日のグローバル連携省の発表によると、同プログラムでカナダへの移住が承認された通訳や大使館勤務者など第1便が16日夜トロントに、大使館員らを乗せた第2便がオタワに到着。トルドー首相は、カナダ人を現地で補佐していたアフガニスタン人のうち807人は既に国外退避し、500人がカナダに到着したと述べた(「グローバルニュース」8月17日)。

カブールのカナダ大使館は既に閉鎖されているため、同プログラムの申請手続きは遠隔で続けられている。

(江崎江里子)

(カナダ、アフガニスタン)

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