欧州委、復興基金グリーンボンドの発行を開始

(EU)

ブリュッセル発

2021年10月18日

欧州委員会は10月12日、復興基金グリーンボンド(注)を初めて発行し、120億ユーロを調達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。欧州委は、復興基金の財源となるEU名義の債券の発行において、総発行額の3割に当たる最大2,500億ユーロを、2026年末までに復興基金グリーンボンドで調達するとしている(2021年4月16日記事参照)。欧州委は、今回の発行について発行額の11倍を超える大幅な応募超過となったことから、幅広い投資家からの需要が裏付けられたとし、今後の発行に自信をみせた。

今回の発行は、欧州委が2021年7月に提案したグリーンボンド基準設定規則案(2021年7月9日記事参照)ではなく、9月に発表した復興基金グリーンボンド枠組み(2021年9月8日記事参照)に基づくもの。復興基金グリーンボンドの発行により調達した資金は、復興基金の中核政策である「復興レジリエンス・ファシティ(RRF)」を通じて加盟国に拠出され、加盟国がRRF予算の37%以上を割り当てることを義務付けられている環境・気候変動対策に限定して活用される。なお、欧州委は、復興基金の財源として、今回の復興基金グリーンボンドの発行分を含め685億ユーロ分の長期債(2021年6月18日記事参照)と140億ユーロの短期債を既に発行している。

欧州委のヨハンネス・ハーン委員(予算・総務担当)は、今後EUはグリーンボンドの世界最大の発行元になるとし、今回の発行は持続可能性に対する強いコミットメントを示すものだと、その意義を強調した。欧州委は、サステナブル・ファイナンス(2021年7月8日記事参照)を積極的に推進しており、復興基金グリーンボンドの発行も、サステナブル・ファイナンス市場におけるEUとユーロの地位を強化する政策の一環だとみられている。

(注)グリーンボンドとは、気候変動や環境に配慮した事業向けの資金調達として発行される債券。

(吉沼啓介)

(EU)

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