丸紅子会社のAGS、コンスタンツァ市などで無収水削減プロジェクト開始

(ルーマニア)

ブカレスト発

2021年10月06日

丸紅が2019年に完全子会社化したポルトガルの水道事業会社AGSは、黒海沿岸のルーマニアの港湾都市コンスタンツァ市のほか6県で上下水道を運営しているラジャ(RAJA)向けに、期間5年の成果報酬型無収水(注)削減プロジェクトを開始した。AGSは2021年1月の履行開始から9月までにインセプションレポートと、KPI算定方式、調達設備の技術仕様、10年間の無収水削減ロードマップなどを提出した。今後はラジャの無収水削減を実現するために、AGSのソフトウエアの導入や担当従業員の研修にも取り組む。

同プロジェクトは欧州復興開発銀行(EBRD)が2018年9月にラジャと契約した2,500万ユーロのEBRD 持続可能な水インフラ設備フレームワーク(EBRD Sustainable Water Infrastructure Facility, SWIFT)による融資の一部が財源になっている。

ラジャはルーマニア国内最大の上下水道インフラ運営企業で、コンスタンツァ市など7つの県市で計300万人が利用している。同プロジェクトを通じ、ラジャはサービスの質の向上と無収水削減の両立を可能とする成功例になることを期待している。ラジャはAGSの無収水削減プロジェクトが含まれるEBRD融資を活用し、4年間で30万立方メートルの無収水、二酸化炭素8,400トン相当の削減を目指す。

ルーマニア政府は2021年5月31日に総額293億8,800万ユーロ規模の「国家復興・レジリエンス計画(PNRR)」を欧州委員会に提出(2021年6月17日記事参照)、欧州委員会は9月27日に同計画の審査を完了したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EU理事会での承認後、前払い分の予算の拠出が行われる予定で、今後多様なインフラ整備が急速に進むことが予想される。

丸紅の松浦裕市・ブカレスト駐在事務所長は「AGSを通じ、今後さらにルーマニアの無収水削減や水道事業の効率化に寄与したい」と話した。

(注)配水管からの漏水や盗水により料金徴収ができない水道水。その割合を小さくして事業採算を好転させる必要がある。

(西澤成世)

(ルーマニア)

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