ブルキナファソで国軍によるクーデター発生

(ブルキナファソ、マリ、コートジボワール)

アビジャン発

2022年01月26日

アフリカ西部のブルキナファソで1月23日未明に、ロック・カボレ大統領のイスラム過激派対策の不備に抗議して反乱を起こした国軍兵士らが、翌24日夕刻、国営テレビを通じ、全権を掌握したと宣言した。

兵士らは、政府が国の安全保障を担保できていないと批判し、サンダオゴ・ダミバ陸軍中佐を首班として軍・治安組織が参加する「防衛と復興のための愛国運動」(MPSR)の樹立を宣言するとともに、憲法の停止、政府と議会の解散、国境の封鎖、夜間外出禁止令を発表した。今後、国内での協議を踏まえて、「適切な期間内に憲法秩序の回復に向けてスケジュールを提示する」と言明した。

フランスの国営放送RFIやBBCによると、1月23日早朝から首都ワガドゥグなど各地の軍事基地で兵士が蜂起。軍上層部の解任と、2015年から続くイスラム過激派の襲撃に対抗するための軍備強化を要求し、発砲を繰り返した。同日夜半には、首都のカボレ大統領の自宅周辺で激しい銃撃が起きたほか、政権与党本部が群衆に襲撃されるなど混乱が広がった。身柄を拘束されたカボレ大統領の安否や居場所は明らかになっていない。

近年、隣国マリやニジェールにまたがる地域で、イスラム過激派武装組織による襲撃が相次いでおり、ブルキナファソではこれまでに2,000人以上が死亡したとされる。2021年11月には、軍施設が襲われ兵士49人が死亡する事件も起きており、国民の間でもカボレ政権の治安維持能力を疑問視する声が高まっていた。

国連をはじめアフリカ連合(AU)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、EU、米国は、今回のクーデターに対していずれも緊急声明を発し、武力による権力掌握を強く非難し、カボレ大統領の「即時釈放」と国の「憲法の順守」を求めている。

ブルキナファソでは2014年、27年間の長期政権の座にあったブレーズ・コンパオレ大統領が、任期延長を狙った憲法改正案に反発した民衆の蜂起により、退陣に追い込まれた。その後2度の政変危機を乗り越え、2015年に実施された選挙でカボレ大統領が当選し、2020年に再選された(2020年11月27日記事参照)。

(渡辺久美子)

(ブルキナファソ、マリ、コートジボワール)

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