バイデン米政権、ミャンマー関連ビジネスに関する勧告を発表

(米国、ミャンマー)

ニューヨーク発

2022年01月27日

米国政府は1月26日、ミャンマーの軍事政権と関わりのあるビジネスに携わっている個人、事業者向けに注意喚起を目的とした勧告を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。国務省、財務省、商務省、労働省、国土安全保障省、通商代表部の6省庁による連名となっている。

勧告は、2021年2月にミャンマーで発生した軍事クーデターの経緯に触れた上で、ミャンマー国内で、特に軍事政権による人権侵害に関わりのあるビジネスに携わっている場合に十分なデューディリジェンスを行わなければ、レピュテーションや金融、法律面(米国の制裁関連法を含む)で高いリスクがあると説明している。中でも、懸念の大きい取引先・分野として、国有企業、宝飾・希少金属分野、不動産・建設事業、武器・軍事装備および関連活動の4つが挙げられている。また、勧告はそれらに加えて、ミャンマーではマネーロンダリングのリスクがある点と、同国製品の輸入においては児童・強制労働のリスクがある点を指摘している。

米政府はこれまで、ミャンマー国軍の幹部や国軍と関係の深いミャンマー企業を特別指定国民(SDN)や輸出管理規則上のエンティティー・リストの対象に加えるなど、段階的な制裁を加えてきた(添付資料参照)。今回の勧告は、新たな制裁措置を伴うものではないが、これまで米政府が発表してきた制裁措置や資料・ツールについて、付属書1および2で情報をまとめている。また、デューディリジェンスを行う際に参照すべき文書として、付属書3で、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」やOECDの「多国籍企業行動指針」、ILOの「強制労働対策:使用者および企業向けハンドブック」などを紹介している。

国務省のネッド・プライス報道官は勧告の発表に合わせて、「米国は同盟・友好国とともに被害者のための正義を促進し、人権侵害や虐殺に責任ある者を追及し、(ミャンマーの)現体制に対して暴力を停止し、不当に拘束された人々を解放し、人権侵害を停止し、複数政党から成る民主主義およびミャンマーの民主制への移行に戻るよう、圧力をかけていく」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

(磯部真一)

(米国、ミャンマー)

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