選挙スケジュール公示、水面下で勢力争いも

(ケニア)

ナイロビ発

2022年02月02日

ケニア独立選挙管理・選挙区画確定委員会(IEBC:Independent Electoral and Boundaries Commission)は1月21日、2022年8月9日に実施される大統領選挙の選挙活動の開始時期を5月29日の日曜日に定めたと発表した。選挙活動は投票開始の48時間前となる8月6日までとなる。今後の主なスケジュールは以下のとおり。

  • 4月9日まで:政党の党員名簿、および政党内の大統領候補者の名前、政党内選挙の実施日をIEBCに提出。
  • 4月22日まで:各政党内で大統領候補者の選挙を実施。
  • 4月28日まで:各政党は大統領候補者の名前等をIEBCに提出。
  • 5月2日まで:無所属の大統領候補者は名前などをIEBCに提出。
  • 5月13日まで:IEBCが立候補者を官報で発表。
  • 5月29日~6月6日:政党による大統領候補者の任命。
  • 5月29日~8月6日:選挙キャンペーン期間。キャンペーンは午前7時から午後6時まで。
  • 8月9日(火):大統領選挙・総選挙

なお、この選挙では、上院(元老院)および下院(国民議会)選挙、47カウンティ(注)の知事選挙、地方議会選挙も同時に実施される。

ケニア上院では、現職のウフル・ケニヤッタ大統領と野党オレンジ民主運動のライラ・オディンガ代表が推す政治政党法改正案(2021年)について審議中だ。同法案では、政党の登録には信条(イデオロギー)を提出しなければならないことが規定されており、反対派は信条(イデオロギー)の定義の曖昧さなどを指摘している。この法案は2021年12月29日、ウィリアム・ルト副大統領の反対を押し切り、国民議会を通過した。

本来は協力関係にあるはずの現職大統領と副大統領の溝が顕著となっている中、ケニヤッタ大統領は2017年の選挙で対抗馬だったオディンガ氏と親密な関係を深めている。両氏は同選挙後に水面下で交渉を続け、翌2018年に「握手」をするパフォーマンスをみせたほか、2020年10月には憲法改正案を含む「架け橋(Building Bridge)イニシアティブ・レポート」を発表している(2020年11月2日記事参照)。ただし、IEBCは、同レポートが大統領自らの主導であることを違憲だと指摘し、2021年5月13日にはケニア最高裁が同レポートについて違憲との歴史的判決を下している。

(注)ケニアでは、2013年に州や県をはじめとする行政区分を解体し、47のカウンティを地方行政の中心単位として導入。各カウンティは、旧行政区分の県とほぼ一致する。

(久保唯香)

(ケニア)

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