イスラエル大統領がUAEを訪問、万博ナショナルデーにも出席

(中東、アラブ首長国連邦、イスラエル、イエメン)

ドバイ発

2022年02月01日

イスラエルのアイザック・ヘルツォーク大統領は1月30日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビを訪問し、ムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ首長国皇太子と会談を行った。会談では、2国間関係のさらなる進展と中東地域の安全保障について議論され、ヘルツォーク大統領は「UAEの安全保障を完全にサポートする」と述べ、安全保障面での協力関係も協調した(ロイター通信1月31日)。

今回の訪問は、2020年9月の「アブラハム合意」署名による両国の国交正常化(2020年9月17日記事参照)の流れを受けたもの。イスラエルからUAEへの公式訪問は、2021年12月にナフタリ・ベネット首相が首脳として初めてアブダビを訪れた(2021年12月15日記事参照)が、これに続き、両国間の関係緊密化をあらためて表した格好となった。

ヘルツォーク大統領は、翌31日にはドバイ国際博覧会(ドバイ万博)会場を訪問、同国の「ナショナルデー」の式典に参加した。式辞では、UAEからナヒヤーン・ビン・ムバーラク・アール・ナヒヤーン寛容・共生相兼2020年ドバイ国際博覧会委員長が開会あいさつを行い、イスラエルのドバイ万博への参加とその貢献を賞賛。ヘルツォーク大統領は、両国の国交正常化を受けて様々なビジネス機会がもたらされていることに触れ、今後もアラブ諸国との関係構築が進展することに期待感を示した。

写真 ドバイ万博の中心広場「アル・ワスル」におけるイスラエル館の式典(ジェトロ撮影)

ドバイ万博の中心広場「アル・ワスル」におけるイスラエル館の式典(ジェトロ撮影)

他方で、同31日の未明、UAE連邦国防省は、イエメンから発射された弾道ミサイルを迎撃したと発表した〔1月31日付UAE国営エミレーツ通信社(WAM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。イエメンの武装組織フーシ派が発射したものとみられ、ヘルツォーク大統領のUAE訪問に合わせた示威的行動だったことも推測される。フーシ派のUAEに対する攻撃は、1月17日にアブダビの石油精製所などをドローン攻撃し、複数人の死者が出たのを皮切りに、同24日には弾道ミサイルを発射、迎撃されており、1月に入り3度目となる。今回の弾道ミサイルの標的がアブダビ、ドバイまたは他都市だったかは明らかにされていない。

これを受け、UAE連邦国防省は、イエメンのアル・ジャウフにあるミサイル発射台の爆破に成功したと、ツイッターに動画付きで投稿し、迅速な報復措置を行ったことを明らかにしている。ドバイ万博会場では1月31日、入場口での警備が平時に比べて厳格化されるなどの対策が取られたものの、通常どおりの営業となり、イスラエル館ではナショナルデーを祝う行事も催行されていた。

写真 ナショナルデーを祝うイスラエル館の様子(ジェトロ撮影)

ナショナルデーを祝うイスラエル館の様子(ジェトロ撮影)

(山村千晴、田辺直紀)

(中東、アラブ首長国連邦、イスラエル、イエメン)

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