2021年の輸出入が前年から大きく回復、輸出は過去最高額に

(スイス)

ジュネーブ発

2022年02月15日

スイス連邦関税局は1月27日、2021年の貿易統計を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。輸出は前年比15.2%増の2,595億スイス・フラン(約32兆1,780億円、CHF、1CHF=約124円)、輸入は10.1%増の2,008億CHFだった(添付資料表1参照)。貿易黒字は、2020年から158億CHF拡大し、587億CHFとなった。輸出額、貿易黒字額ともに1885年の統計開始以来、過去最高額を記録した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けて落ち込んだ2020年から一転し、2021年の輸出は拡大した。輸出を品目別にみると、輸出の約5割を占め最大輸出品目の化学品・医薬関連品が前年比12.4%増となり、大きく貢献した。特に、免疫学的製品の伸びが顕著だった。また、時計も31.2%増と大きく伸びた。スイス時計協会によると、2021年9月に新型コロナ感染拡大前の水準に戻り、その後の第4四半期に輸出が拡大したことにより、年間の輸出額は過去最高額の223億CHFを達成した。

輸出を国・地域別にみると、欧州(前年比18.1%増)、北米(17.0%増)、アジア(9.0%増)の3つの主要な経済圏で拡大した(添付資料表2参照)。アジアについては、特に香港(23.0%増)、シンガポール(13.5%増)、日本(9.7%増)、中国(5.5%増)向けが大きく伸び、中でも中国向けは、機械および電気・電子機器、精密機器、時計の拡大に牽引されて過去最高額を達成した。日本向けは、化学品・医薬関連品、精密機器、時計が伸びた。これまでスイスにとって最大の輸出先国だったドイツ(9.0%増)は、化学品・医薬関連品、金属、機械および電気・電子機器、精密機器などが増加したものの、化学品・医薬関連品の伸びに牽引された米国(18.8%増)がそれを上回って過去最高額を記録し、1954年以来初めて最大の輸出相手国となった。

輸入も各品目で拡大した。品目別にみると、化学品・医薬関連品が前年比7.1%増となり、特に免疫学的製品の伸びが貢献した。エネルギー(69.4%増)は価格高騰の影響で大幅な増加となり、食品・飲料・たばこ(7.9%増)は、過去最高額を記録した。

輸入を国・地域別にみると、欧州(前年比10.9%増)が拡大し、中でも、エネルギーの伸びに牽引されたドイツ(11.2%増)とフランス(20.1%増)、化学品・医薬関連品が伸びたスペイン(21.7%増)で大きく伸びた。

(城倉ふみ)

(スイス)

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