コメの輸入依存が高まる、自給達成に向け国家稲作開発戦略に着手

(コートジボワール)

アビジャン発

2022年02月22日

コートジボワールの経済財政省の統計によると、2021年のコメの国内生産量は約150万トンで、前年より1.0%増加した。2022年は152万トンの見込みだが、コメの需要増加に伴って新たな目標達成が厳しい見通しだ。稲作の灌漑率は6%で、9割超が自然降雨による天水稲作が営まれている。収穫が天候に左右されることも多く、コメ増産に向けて期待された効果が出ていないのが実情だ。

国際コメ統計観測所(OSIRIZ)によると、2021年のアフリカのコメ輸入は1,780万トンと、前年比14.1%増加するとみている。特に西アフリカ諸国の輸入が多く、世界2位のコメ輸入国ナイジェリアは250万トン、コートジボワールとセネガルも150万トンに達する見通しだ。同地域では、近年の所得増加によりコメを主食とする食生活が浸透しつつある。コメ生産量が消費量の急速な増加に追いついておらず、アジア諸国からのコメ輸入が年々拡大している状況だ。

コートジボワールでは、経済成長や都市化などに伴い、コメの需要が伸びている。従来、キャッサバや食用バナナ、ヤムイモ、メイズが主食だったが、近年は食生活の変化により、コメの国内消費が増加している。一方で、国内生産が伸び悩み、輸入依存が高まっている。

同国は世界有数のコメ輸入国で、アフリカではナイジェリアに次ぐ規模だ。主な輸入相手国は、インドが最大で、ベトナム、タイと続く。現地通関統計によると、2021年のコメ輸入量は前年比29.6%増の144万3,000トン、輸入額は27.8%増の4,059億CFAフラン(約811億8,000万円、1CFAフラン=約0.2円)だった。

コートジボワールのコメ消費量は約280万トンと推定され、50%を輸入に依存している。政府はコメ輸入依存の是正と自給率の改善に向けて、2012年に「国家稲作開発戦略(SNDR)」に着手したが、2020年までの目標だった国内生産量200万トンを達成できず、2020年3月に「2020~2030年SNDR」を導入した。新たな戦略の柱として、灌漑水田の振興や整備による効率的な稲作開発、高収量品種の導入、稲作バリューチェーンの機械化促進を通じてコメの生産性を高め、国際競争力の向上に取り組んでいく。具体的には、総額1,500億CFAフランをかけて、64カ所のダムの復旧と5万5,000ヘクタールの水田整備などを予定している。政府は新たな目標に、2025年までに国内のコメ自給確保、2030年までにコメ輸出大国を掲げている。実際、同国は1970年代、コメを自給していただけでなく、近隣諸国へ輸出もしていた。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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