ウクライナ情勢、サウジアラビアが仲裁役に名乗り

(サウジアラビア、ロシア、ウクライナ)

リヤド発

2022年03月07日

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は3月3日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とウクライナ情勢などについて電話会談を実施した。

3月3日付サウジアラビア国営通信(SPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ロシア側の要請によるもので、両者はさまざまな分野の2国間関係と強化に向けた方策について協議した。ムハンマド皇太子はプーチン大統領に対して、ウクライナ危機の終結および治安と安定をもたらす政治的解決に向けた努力を支持する意向を伝え、全ての当事者間の仲裁に向けて努力する用意があると伝えた。また、ウクライナ情勢がエネルギー市場に与える影響について触れ、OPECプラスの合意の役割をとその維持の重要性を強調しつつ、原油市場の均衡と安定の維持を望む姿勢を繰り返し示した。前日の2日に開催されたOPECプラスの閣僚級会合で、両国政府は生産計画の維持で既に同意しており、あらためて確認したかたちとなった。米国CNN(3月3日)は、エネルギー市場での協調維持についてロシア政府は好意的に受け止めていると報じている。

ムハンマド皇太子は同日、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領からの電話会談にも応じた(3月4日付SPA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ムハンマド皇太子はウクライナ危機の緩和に向けたあらゆる支援を行う用意があるとし、全ての当事者間の仲裁に向けた取り組み準備、政治的解決を図る全ての国際的な努力を支援する姿勢を明らかにした。また、人道的配慮から、自国に滞在するウクライナ人が有するビザの有効期間について、3カ月の延長を認めることも発表した。

ウクライナ危機について、サウジアラビア政府は当初から慎重な姿勢を見せてきた。その理由について、OPECプラスで主要な役割を果たしているロシアへの配慮と受け止められていた(2022年3月1日記事参照)。今回の電話会談を通じて、ロシアとの間でエネルギー市場の協調維持を確認するとともに、ロシア、ウクライナ両国に対して政治的解決を求めつつ仲裁役として新たに名乗り出たことは、両国や欧米諸国とも関係悪化を望まない同国政府の姿勢の表れとみられる。

(秋山士郎)

(サウジアラビア、ロシア、ウクライナ)

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