中国からの鉄鋼線材に対する反ダンピング措置の維持提案

(英国、中国)

ロンドン発

2022年03月02日

英国貿易救済庁(TRA)は2月23日、中国から輸入する鉄鋼線材について、既存のアンチダンピング措置を維持する提案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

TRAの調査によると、中国での線材の大量生産と大量在庫の証拠が見つかり、同措置を解除した場合に再びダンピングが発生する可能性があることが示唆された。これによりTRAは、中国からのステンレス鋼以外の熱間圧延鉄鋼、非合金鋼、合金鋼の棒鋼および線材に対するアンチダンピング措置について、2026年1月30日まで現行水準を維持するよう提案した。TRAによると、同措置は離脱前の英国を含むEUで2009年から実施、延長が繰り返されてきた。

今後30日間の意見募集を行い、その結果を踏まえてTRAが最終提案を作成し、国際通商相が同提案を支持するかどうか最終決定する。

セーフガード対象鉄鋼製品の関税割り当ても見直し

TRAは2月28日、開発途上国から輸入するセーフガード措置の対象鉄鋼製品に関する関税割り当ての見直しを開始したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

これに際し、TRAは最新の輸入データに基づき、開発途上国からの輸入に対する例外措置の変更の必要性を評価する。同局は、評価に当たっては、現在措置の適用除外となっている国か否かにかかわらず、全ての開発途上国からの輸入について考慮するとしている。

TRAは、ある途上国からの輸入が増加し、同国からの輸入量がセーフガード措置の対象となる閾値(いきち、同製品の総輸入量の3%以上)を上回った場合、同国からの輸入を措置の対象とするよう提案できる。TRAは、反対にこれまでセーフガード措置の対象だった開発途上国の輸入量が同製品の英国への総輸入量の3%未満になった場合、その国を対象から除外するよう提案することもできる。本件についても、TRAウェブサイト内で3月15日まで意見募集を行っている。

最終決定はTRAの提案に基づき、国際通商相が判断する。関税割り当ての改定が必要な場合は、国際通商省が発表するとしている。  

(宮口祐貴)

(英国、中国)

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