住商がコミュニティー型サービスを実証実験、スマートシティーで導入へ

(ベトナム)

ハノイ発

2022年03月23日

住友商事は3月13日、ベトナム・ハノイ市内のマンションで、住民向けのコミュニティー型生活サービスインフラの実証実験を開始した。同社がベトナム地場不動産大手BRGグループと進める北ハノイスマートシティー開発での導入を念頭に、子育て世代を主なターゲットとした検証を行う。

実証実験は、BRGグループが手掛けるハノイ市ロンビエン区のマンションの1階共有スペースで、5月27日まで実施される。マンション共有施設として、子供が体を動かせる遊び場、気軽に健康診断を受けられる保健室、スキル・知識のシェアができるセミナールーム、健康的なメニューをそろえたカフェを設置。レジャー用品や運動グッズなどのシェアリングサービスも提供する。施設やサービスの利用状況は、住民ごとに付与するIDを通じて管理。そこで蓄積されたデータは、食事や運動の改善に向けた情報提供などに活用される。

サービスの主要ターゲット層は、スマートシティーの住民として想定されるアッパーミドル層で、ハノイ市在住の20代から40代の共働き・子育て世帯を見込んでいる。住友商事によると、同世帯は、核家族化に伴う子育て環境・コミュニティーの希薄化、運動不足や食生活の偏りなどの生活課題を抱えているという。これらの課題解決のため、ヘルスケア、食、運動習慣、コミュニティーの面で、リアルとデジタルを統合したサービスを提供し、コミュニティー形成や安心安全な子育て環境の実現を目指す。

国際協力機構(JICA)はこの事業をSDGsビジネス支援事業として採択。博報堂も実証実験に協力する。

北ハノイスマートシティー開発に向けた検討

住友商事とBRGグループはハノイ市北部ドンアイン区でスマートシティー開発を進めている(2019年10月16日記事参照)。第1~2期は住宅開発を中心にコンドミニアム、戸建て、ショップハウス、タウンハウスなどを建設する。第1期の開発面積は約73ヘクタールで、2023年度中の居住開始を見込む。第3~5期は複合用途開発が中心で、住宅に加えて、オフィスや商業施設などの開発を進める計画だ。今後は住友商事などが出資する日本・ベトナム合弁のタウンマネジメント会社を設立し、スマートソリューション導入の検討を進める。

写真 実証実験開始の式典の様子(ジェトロ撮影)

実証実験開始の式典の様子(ジェトロ撮影)

写真 シェアリングサービスのカウンター(ジェトロ撮影)

シェアリングサービスのカウンター(ジェトロ撮影)

(庄浩充)

(ベトナム)

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