マレーシアへの半導体関連の投資急増、欧米や日本企業が生産拡大

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年03月25日

ジェトロが3月16日にマレーシア投資開発庁(MIDA)から入手したデータによると、2021年の製造業における外国投資認可額は、前年比3.2倍の1,795億9,860万リンギ(約5兆288億円、1リンギ=約28円)だった(添付資料表1参照)。半導体関連など電気・電子部品の分野で大型投資が相次ぎ、「新型コロナ禍」前の2019年(544億4,410万リンギ)と比べても顕著に増加した。国内投資認可額を含む製造業投資全体の9割強を外国投資が占めた。外国投資案件292件のうち、新規案件が80.6%を占めた。

業種別にみると、全体の8割強を占める電気・電子製品が前年比10.8倍の1,462億6,582万リンギと急増した。大型案件として、中国の東方日昇新能源による太陽電池・モジュールの新工場設立(約422億リンギ)、米国の半導体大手インテルによる先端半導体パッケージングの新工場設立(約300億リンギ)、オーストリアの半導体大手AT&Sによる高性能プリント基板(PCB)と集積回路(IC)の新工場設立(約85億リンギ)などが挙げられ、半導体関連の投資案件が多かった。

国・地域別では、オランダが前年比11.5倍の749億935万リンギと大きく伸び、首位に浮上した(添付資料表2参照)。うち、ほとんど(99.8%)が電気・電子製品による投資案件(7件)だった。例として、同国の半導体大手ネクスペリアによる、集積回路の設計開発の新工場設立があった。次いで、シンガポールが5.3倍増の465億6,696万リンギで2位だった。電気・電子製品分野が全体の96.2%を占め、既述の中国の東方日昇のシンガポール拠点から投資された案件が9割以上を占めた。オーストリアは、前述のAT&Sの案件などが寄与し、189億2,042万リンギで3位に躍進した。他方で、中国は6.5%減の166億424万リンギへと減少した。日本は5位の投資国となった。これら上位5カ国で全体の9割強を占めた。

日本企業も半導体関連の生産増強に動く

日本による製造業投資認可額は、前年比4.6倍の75億3,650万リンギに拡大した。全体の7割強を占める電気・電子製品が前年比11.5倍増の54億2,931万リンギだった(添付資料表3参照)。ローム・ワコーによる半導体工場の新棟建設、太陽誘電による積層セラミックコンデンサ製造の拡張投資、デンソーによる自動車用半導体製造の拡張投資などが挙げられた。

MIDAは、半導体への需要が世界的に拡大していることを指摘。2021年にマレーシアへの半導体関連投資が相次いだのも、この需要増を受けてのものとみられる。なお、MIDAと国際貿易産業省(MITI)は2021年中に、(1)韓国と日本(4月上旬)、(2)サウジアラビアとアラブ首長国連邦(4月下旬)、(3)カタール、オーストリア、トルコ(7月)、(4)ドイツ、フランス、英国(10月)へ、計4回の貿易促進・投資誘致ミッションを派遣し、約502億リンギの投資の確約を得た。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

ビジネス短信 b10cb8b9fa70cf0d